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「いない……」
藍は短刀部屋を覗いてぽつりと呟く。
小夜に言われて来たものの、いないのではどうしようもできない。
藍は、ため息をついて短刀部屋を後にした。
そのままてくてくと廊下を歩く。
本丸は広く、乱に案内してもらって以来行ってないところだってある。
藍は、降りて見に行こうかと考え、やはりやめていこうと思い直す。
何せ、ソックスのまま地面に立つ訳には行かない。
また今度の機会に、と藍は前に向き直り、再び歩くのを再開した。
と、その時。
たったったったっ……と跳ねる様に走る足音。
後ろから聞こえるそれに気付き、藍はくるっと振り向いた。
が。
「何も、無い……」
不思議に思いつつ、藍は首をかしげた。
そして、そのまま歩こうと前を向いた＿＿＿＿＿＿そこには。
「わっ……」
「はじめまして、藍さん!
やっとみつけましたよー……えへへ、ぼく、今剣っていいます!
これ、藍さんにあげますね!」
藍の目の前でにこっと笑った男の子。
男の子は、後ろに回していた手を差し出した。
そこには、銀色に煌めく一本の飾り紐。
「これ……」
「『おちかづきのしるし』ってやつです!
岩融といっしょにつくったんですよ!うれしいですか……?」
きらきらと輝く赤い瞳が、藍をじっと見つめる。
藍は、左手首にその紐を結び、身を屈めて今剣と目線を合わせた。
「勿論。
すっごい嬉しい……大切にするね」
「ほんとですか!?
わーい、岩融もよろこびます!」
今剣はその答えを聞いて、ぱっと顔を輝かせて、嬉しそうに微笑んだ。
藍がその頭を撫でてやると、今剣は更に笑みを深くして、照れたように笑う。
そして、「岩融につたえてきます!」と手を振りながら走っていく。
藍はそれに手を振り返して、手首に結んだそれを見つめた。
ここに巻いたこれも。
今身に纏うこの服も。
ここに住む人からの贈り物だ。
待たれていたこと、待たせたこと。
望まれたこと。
それはきっと、返さねばならないことだから。
いつか、お礼をしよう。
待ってくれた皆へ。
望んでくれた皆へ。
きっと、それが今できる精一杯の感謝の形だから。
この『幸運』は、自分だけではなく、ここにいるすべての人に使わねばならない。
だから。
藍は、あることを思い付いて、蒼の部屋へと歩き出した。
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梛霧(プロフ) - suzu★さん» だ、大好きですか!?すごい嬉しいです……ありがとうございます、これからも頑張りますので、よろしくお願いします！あと、『fight』ありがとうございます！ (2016年12月10日 20時) (
レス) id: 0ac4ee445f (このIDを非表示/違反報告)
suzu★ - この小説、凄い大好きです！なので、これからの更新楽しみにしてますね！fightです！！ (2016年12月10日 19時) (レス) id: 93b63c613e (このIDを非表示/違反報告)
梛霧(プロフ) - 美由紀さん» ありがとうございます、嬉しいです！！これからも頑張ります……！！ (2016年12月8日 18時) (レス) id: 0ac4ee445f (このIDを非表示/違反報告)
美由紀(プロフ) - おもしろかったです！これからも頑張ってください！！更新待ってます！ (2016年12月8日 17時) (レス) id: 9e4be1b4f0 (このIDを非表示/違反報告)
梛霧(プロフ) - からしさん» すいません、間違いです……訂正させていただきます！ (2016年12月1日 18時) (レス) id: 0ac4ee445f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：梛霧 | 作者ホームページ：
作成日時：2016年10月23日 22時
