ページ ページ44
獅子王たちと別れ、藍は考え事をしつつ再び廊下を歩き始めた。
……兄さん、甘いの好きだったよね。
夜ご飯のとき、喜んでくれるかな。
とか。
学校行くの怠いなあ。
とか。
色々考えつつ、藍はぼんやりと自分の部屋に戻ってきていた。
そして、何となく庭に目を向けた。
そこに、始めて来た日に見た、あの樹が立っていた。
美しい桜が咲き誇った、樹。
予想的中である。
その足元には、紫色のあの花が更に増えていた。
「綺麗……」
＿＿＿＿きっと、お花見とかしたら楽しいかな＿＿＿＿
儚い桜が、散るその前に。
少し辺りを見渡す。
「あ」
そこで、はたと誰かと目が合う。
左右で色が違う、が、鮮やかな光を灯す瞳。
艶やかな桃色の髪の毛。
「ああ、藍さんですね。
私は宗三左文字と言います。
こちらは弟の小夜左文字」
近づいてきて、そう言ってくれる。
藍は、頷いて小さい男の子を見つめた。
青い、大きな猫目と特徴的な結び方の青い髪。
また、首には傘を結んでいる。
「そっか。
やっと会えたね。
……これからよろしく、宗三、小夜」
「はい」
「……うん」
小さく頷いた小夜に、可愛らしいな、と藍は微笑む。
粟田口の短刀たちも可愛いが、こうして少し人見知りっぽいのも可愛らしい。
本当の性格は知らないが。
「……あの、これ」
色々考えていると、小夜が手を差し出した。
そこには、小さなお守り袋と思われるものが。
「これは……」
「……僕、まだ贈り物、あなたに渡せていないから」
そういって、小夜は目を伏せた。
中には、小さな葉っぱ。
ふわっとした甘い果物の香りが鼻に来、藍は目を見張る。
「……それ、柿の匂い」
「柿の?
……小夜は、柿が好きなんだ?」
藍の言葉に、こくりと頷く小夜。
藍は、ぎゅっと贈り物を抱き締めた。
その時。
「あの……他にも、まだ渡せていない短刀が居るから、会いに行ってあげて」
「そうなの……?
ありがとう、小夜。
……それではまた」
宗三にぺこりとお辞儀をして、藍は短刀部屋へと走り始めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 177人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
梛霧(プロフ) - suzu★さん» だ、大好きですか!?すごい嬉しいです……ありがとうございます、これからも頑張りますので、よろしくお願いします！あと、『fight』ありがとうございます！ (2016年12月10日 20時) (
レス) id: 0ac4ee445f (このIDを非表示/違反報告)
suzu★ - この小説、凄い大好きです！なので、これからの更新楽しみにしてますね！fightです！！ (2016年12月10日 19時) (レス) id: 93b63c613e (このIDを非表示/違反報告)
梛霧(プロフ) - 美由紀さん» ありがとうございます、嬉しいです！！これからも頑張ります……！！ (2016年12月8日 18時) (レス) id: 0ac4ee445f (このIDを非表示/違反報告)
美由紀(プロフ) - おもしろかったです！これからも頑張ってください！！更新待ってます！ (2016年12月8日 17時) (レス) id: 9e4be1b4f0 (このIDを非表示/違反報告)
梛霧(プロフ) - からしさん» すいません、間違いです……訂正させていただきます！ (2016年12月1日 18時) (レス) id: 0ac4ee445f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：梛霧 | 作者ホームページ：
作成日時：2016年10月23日 22時
