第三十九話 貴方side ページ40
『はぁはぁ…』
私は、あてもなくただ走る。
誰も助けてくれる人もいないし、話しかける人もいない。あの時、りょうを説得してたらこんな苦労はなかっただろうか?
いや、りょうは説得しても無駄だろう。
かと言ってあそこで引き下がって戻るのも違っただろう。必ず私の手で…。
『見つけるんだ!真実…。あっ!』
“ドサッ”
私は道の石につまづいて転んでしまった。
スカートに血が滲んでいく。
『っ…!それでも…私は!行くんだ』
私が走っていると、次第にポツポツと雨が降ってくる。それもかなり強い雨。
『…!雨宿り…しなきゃ』
私は近くの公園にあった、小さな建物…子供達の遊び場らしきものに身を潜めた。
丸い形をしてるので完全に雨風はしのげるし、まあまあな広さもある。
『…とりあえず雨宿りできたけど、ここにずっといるわけにもいかないし…。というか、ここどこ?』
残念なことに携帯を置いて来てしまったので、地図も調べられないし、東海オンエアメンバーに電話もかけられない。
『…ハクション!うぅ…寒い…。晴れてくれればいいのにな…』
私は、だんだんまぶたが重くなり、意識が途切れた。
…夢を見た。今いる場所から光が出ていて、その光はとある場所へずっと伸びている。
その場所は…。
『岡崎…城西高校…。はっ!』
私は夢が岡崎城西高校への道を教えてくれた。今ならいける!そう思った。それに…
『晴れてる!!』
さっきの雨が嘘だったかのように天気は晴れていた。
これから行ける!
『急ごう!』
私は、服が吸った雨水をギュッと絞ってパパパとシワを伸ばして走り出す。
他の人から見たら明らかにおかしいだろうけど私はそんなの気にせずにどんどん走る。
『ここは右。ここは左に進んで…あ!』
私が走った先にはみんなと初めて会った岡崎城西高校と河川敷が目に広がっていた。
『ここだ…』
私は一歩一歩、岡崎城西高校へと近づきていく。
…真実があと一歩で掴める。そう思った時だった。
?「A…」
?「ここにいたんだな」
『!』
そこにいたのは…
『…としくん?…しばゆー?』
と「お前!急に行くなよ!心配しただろ?それに…めっちゃ濡れてるし、傷ついてるし…」
し「良かった…事故に巻き込まれてなくて…」
『なん…で?』
と「なんでって、携帯置いてあったし雨降ってるのにりょうが帰ってきたからだろ?」
『…じゃなくて』
し「てつや達がいない…でしょ?」
『…うん』
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作者名:おとーふ 二号 | 作成日時:2020年6月4日 14時