【東海】誓いは果たすから…。 (ページ17)

今日:1 hit、昨日:8 hit、合計:23,450 hit

第十六話　貴方side ページ17

『嘘…か』

て「…あー暗い話になっちゃったな！どうしよっか」

『あのね、今日りょうの事、傷つけちゃった』

て「喧嘩でもしたのか？」

『んん。違うの。てっちゃんがお昼買いに行った時もっと話そうねって言ったのに今日てっちゃんのお家に来る事選んじゃって…。てっちゃんが嫌とかそういう訳じゃないの！ただ、りょうに嘘ついて…』

て「…大丈夫。そんな事で怒るりょうじゃない」

『でも、りょうって意外と繊細というかそんな感じが…』

て「ごめん。今はりょうの話は無しで。今は俺だけを見て？俺だけの時間にして。今だけAを独占させて…？」

そう言って、てっちゃんは割れ物を扱うかのように私をそっと抱きしめる。
私は一瞬驚いたが、そのまま身を委ねる。

て「…A？」

『ごめん。てっちゃん以外の話を出して。しかもりょうの話を…』

て「いや、大丈夫。それに“嘘なんて1人1つはある”んだから」

『…私が一番怖いのは、2人とも運命の約束をしていなかった時…』

て「！…それだけはないから安心しろ？」

『うん…ありがとう、てっちゃん』

て「いっその事、俺の嫁になれよ。約束とかそういうの関係無しでさ」

『…え？』

て「俺、お前が好きすぎて仕方ないんだよ。もう、約束なんて忘れて俺と結ばれようよ…」

『てっちゃん…』

て「あ、悪い。変な言い方だし、やっぱりAは本当に運命の約束をしたやつとがいいよな」

『…もしてっちゃんとその約束をしていたとわかったらその時は、結ばれようよ』

て「おう。じゃあ風呂入ってくる。その後に夜ご飯作るから」

『分かった…』

てっちゃんは、私をそっと離し、お風呂へ向かった。

…誰にでも嘘があるか。
てっちゃんにも、りょうにも嘘があるって事？
他のメンバーも…？

…悩んでも仕方ない。私は考えることをやめた。

『…何が本当なのか分からない。私の運命の人って誰なの？私の失った記憶はどんなものなの？
ねぇ…誰か…教えてよ…。辛いよ…』

私は運命の約束をした大切な人との思い出、親友や友達との思い出、家族との思い出。
全てを失った重みを改めて知って泣いた。

なぜ、大事な人を忘れたのか。
なぜ、事故に遭ったのか。
なぜ…嘘をつくのか。

全てに“なぜ？”と思ってしまった。
もう…分からない。

て「…A？泣いてるのか？」

私はこの辛さを隠した。
例え結ばれる人だとしても、絶対に隠す。
疑いの心を。疑問の心を。

『うんん！眠くなっただけ。大丈夫！』