第十二話 貴方side ページ13
…さっきのしばゆーどうしたんだろう。
そのことを頭の片隅に入れて、動画を見始めた。
てっちゃんもりょうも、楽しそう。
…かっこいいなぁ。
虫「…2人ともいい笑顔だよね」
『！虫さん…』
虫「A、少し口角上がった。にやけてるなぁ？」
『に、にやけてる…？』
虫「まぁ気にしないで。どう笑えた？」
『…まだなんだ』
虫「そっか」
『あのさ、虫さん』
虫「何？」
『てつやとりょうって、どうして隠すの？』
虫「運命の相手ってこと…？」
『うん』
虫「正直、僕も分からないんだ。ごめん。でもね、何かしら事情はあると思うんだ」
『そう…だね』
虫「だから、気長に待とう？一ヶ月あるんだよね。大丈夫。必ず思い出せるから」
『…虫さんの言葉は何か信頼できる。頼りになるんだね。東海オンエアの中で』
虫「ふふ。ありがと。そう言われてる事ないから」
『そう…なんだね』
虫「あ、今から面白い撮影始まるから見てて！」
『…分かった』
虫「じゃあ行くね。また来るから！」
『ありがとう、虫さん』
その動画は全員が出てて、内容も濃かった。
文理対決で、しばゆーが個性発揮してるし、文系チームに限っては原始人みたいな動きしてる。
…！心があったかい。
『ぷっ…。あははは！なにこれ…めっちゃ笑っちゃう！あはは！あ、お腹痛いよぉww』
私は初めて、いや記憶を失ってから初めてゲラゲラと笑えた。こんなに笑うと心があったかいし、何か思い出せる気がする。
『あはは…。もー面白いなぁ！』
あれ…なんとなく声が明るくなった気がする。
と「よっ」
『あ、としくん！動画、とっても面白かったよ』
と「お前…めっちゃ声明るいし笑顔じゃん」
『本当？良かった』
と「ちょっとおしとやかな笑いに戻ったけどな」
『ふふっ』
と「すげぇ。めっちゃ笑えてるじゃん」
『みんなの動画見たら、つい笑っちゃって。本当に凄いよ。これが面白いっていう感情なんだね』
と「あぁ」
『一つ感情を思い出せた気がする。それに…』
と「それに？」
『いや、なんでもない』
と「なんでもないんかい！」
『ふふっ』
と「じゃっ」
『うん！また後で…』
NO side
と「皆聞け！」
て「どうしたの？」
と「Aがばちくそに笑ってた！」
虫「おー」
り「本当に？…後で見てこなくちゃ」
し「…良かった」
ゆ「僕も後で行こう〜」
虫「じゃあお昼休憩してからまた再開で。誰かA呼んで」
ゆ「僕、呼んでくる」
虫「はーい」
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作者名：おとーふ 二号 | 作成日時：2020年6月4日 14時
