過去と本音1/shao ページ8
私に一目惚れしたという彼が来る様になり一体何日経ったのだろう。
ずっと私は彼を軽くあしらってばかり。
「…こんなんじゃ、また、嫌われちゃうなぁ」
いつもの休憩時間の始めに、軽く自嘲の笑みを零す。
『お前、可愛げが無いんだよ』
かつて一目惚れした相手に言われた事を思い出し、下唇を噛んだ。
_そんなこと、自分がよく分かってる。
なのにこんな私を好きだと言って、もう何日も此処に来てくれる彼を、私はどう扱っている?
まるであの相手みたいじゃないか。
_今日こそ、彼に返事をしよう。
彼に、私と同じ思いをさせない為に。
よし、と意気込んで時計を見て、ふと気付く。
休憩時間が始まってから、軽く3分は経過していた。
いつも彼は1分後までには来てくれていた。
…また、フラれちゃったかな。
まぁ、"一目惚れ"なんてそんなもんだよ。
そう思いながら席を立ち、給湯室に向かう。
_と、その途中で、何か言い争いをする様な声が聞こえてきた。
普段はスルーするのだが、何故か、足を止めてしまう。
…何故か、じゃない、彼の声が聞こえたからだ。
角を曲がった先から聞こえるので、そこを覗こうとする時に聞こえた言葉に、思わずまた足を止めてしまった。
「お前、いつまであの女に、一目惚れしました〜なんて言って近付くんだよw」
「そうだよwどーせアイツはお前を見ちゃいねぇよw」
…そうだよ、一目惚れなんて、そんなもんだよ。
自分に言い聞かせてその場を立ち去ろうとするが、体が動かない。
弱いヤツらに肯定したままでいいの?
彼に、同じ思いをさせるの?
そんな私を動かしたのは、続いた彼の言葉だった。
「…そうかもしれんけど、俺が彼女を想う気持ちは変わらない。彼女が振り向いてくれるまで、何度でも彼女に好きだと伝える。彼女の両手じゃ抱えきれんほどの愛を、彼女にあげるよ」
あぁ、そっか。
彼は、強い意志を持った人なんだ。
私なんかとは大違い。
…こんなに長く待ってくれて、ありがとう。
「シャオロンさん」
「っ!?Aちゃん!?」
私が角から顔を出すと、シャオロンさんと男二人は目を丸くして私を振り返った。
「シャオロンさん…えっと…ちょっと確認して欲しいことがあるので、デスクに来てもらってもいいですか?」
「え?あ、あぁ…分かった、いいよ」
その言葉を聞くなり私は彼の手を取り、給湯室に向かった。
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続きます。
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トウカ@桃花(プロフ) - アベルさん» コメントありがとうございます。返信が遅くなってしまい、申し訳ありません。そう思って頂けてとても嬉しく思います。これからも頑張りますので、よろしくお願いします。 (2018年3月29日 0時) (レス) id: 9f699652ad (このIDを非表示/違反報告)
アベル(プロフ) - すごくロマンチックだなーーーと思います (2018年3月20日 2時) (レス) id: f9439cb74b (このIDを非表示/違反報告)
アベル(プロフ) - すごくロマンチックだなーーーと思います (2018年3月20日 2時) (レス) id: f9439cb74b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:トウカ@桃花 | 作成日時:2018年1月23日 2時