考えるな、行動しろ/em ページ21
『病院内は走っちゃダメですよ』
きっと今の俺を見て、彼はそう言い困ったように笑うのだろう。
しかし、そんなのどうこう言っている余裕は無い。
俺は目的の病室を見つけると、出来るだけ静かに、それでいて勢いよく扉をスライドさせた。
「教授っ…!」
「…貴方がエーミールさんの助手の方ですか?」
中にいた女性が、俺に目配せしながらそう言った。
はい、と応えながら女性の前まで歩む。
彼女は俺に一礼し、エーミール教授の担当看護師であることを告げた。
「僕はエーミール教授の助手をしてます、Aと申します…それで、教授は…!?」
「こちらです」
俺とは裏腹に落ち着き払った彼女は、奥のベッドのカーテンを静かに開いた。
_そこには、ベッドに横たわったエーミール教授がいた。
「教授…」
「…長期間のストレスや疲れが溜まった結果でしょう。今は眠られています」
「そう、ですか」
言葉に詰まりながら何とか応答した。
俺はそっと教授を覗き込む。
彼の目の下には深いクマがハッキリと刻まれている。
_何のための助手だ。
悔しさから、下唇を噛み締める。
「…お目覚めになられたら、その後一日は様子見で入院して頂きます。そこで異状がなければ退院、という形になります」
「…ありがとうございます」
俺は看護師さんに向き直る。
「エーミール教授のこと…よろしくお願いします」
深々と頭を下げると、看護師さんは、はい、と応えてくれた。
その返答にほっとし、軽く会釈してから病室を後にする。
「…あぁ…くっそ…!」
髪をぐしゃっ、と乱す。
エーミール教授を、倒れさせてしまった。
_これは、俺の落ち度だ。
もっと…もっと、俺が仕事を引き受けていれば。
俺が、俺が、俺が…
「_悩んだって仕方ねぇ…俺は…」
エーミール教授の仕事場の扉を開く。
暗い部屋を見据え、呟く。
「…今から俺が、エーミールだ」
せめてもの罪滅ぼしだ。
エーミール教授、ちゃんと、助手の役割を全うします。
だから、安心して休んでてください、教授。
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皆さん、お久しぶりです…!
スランプや、別ジャンルに手を出したり、リアル多忙だったりの関係で中々更新できない日々が続いていました…
やっと更新できました、長らくお待たせして申し訳なかったです…!
今後ものんびり待っていただけたら幸いです…!
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トウカ@桃花(プロフ) - アベルさん» コメントありがとうございます。返信が遅くなってしまい、申し訳ありません。そう思って頂けてとても嬉しく思います。これからも頑張りますので、よろしくお願いします。 (2018年3月29日 0時) (レス) id: 9f699652ad (このIDを非表示/違反報告)
アベル(プロフ) - すごくロマンチックだなーーーと思います (2018年3月20日 2時) (レス) id: f9439cb74b (このIDを非表示/違反報告)
アベル(プロフ) - すごくロマンチックだなーーーと思います (2018年3月20日 2時) (レス) id: f9439cb74b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:トウカ@桃花 | 作成日時:2018年1月23日 2時