早朝(your side) ページ7
※Aさんが高校生です。
※2人が付き合ってません
your side
家から学校が遠いというのは学生にとって中々重大な問題である。
何がって、早起きが。
クラスメイトは「もう一本遅いバスで来ればいいのに」なんて言うけど、私は入学時から変わらず早いバスに乗っている。
Q 朝に補習がある？
A 違う。あったとしても行かない。
Q 朝の一人きりの教室が好きだから？
A まあそれもある。
Q 他になにか理由がある？
A ええ、ありますとも。
と、くだらない自問自答を脳内で続けていると、見慣れた影が、ふと私の前で止まった。
「あ、おはようございます」
「おはよ」
私がわざわざ早起きして、1便に乗る理由。
それはこの人にある。
お名前は、カワカミさん。
大学生。
髪の色が変わりがち。
知っているのはそれくらい。
彼女の有無も、誕生日も、もっと言えば下の名前すらも知らないくせに、私はこの人のことが好きなのだ。
「眠そうやな。寝れた？」
「いえ、あんまり」
「また夜更かししたやろ」
「…………えへ」
「えへちゃうわ」
彼の定位置は、私が座る椅子の隣の、隣の椅子。
そんな近くて遠い距離で、数分を過ごす。
「あんま無理したらあかんって言うたやろ」
「ｺﾞﾒﾝﾅｻｲ」
「思ってへんなこいつ」
今でこそこんなやり取りができているが、最初の頃は本当に、もう。
……思い出したくもない。
確か私がバスが来る時刻を聞いたのが始まりだった。
その時彼はイヤホンをしていて、声をかけても気付いてもらえなくて、勇気を振り絞って肩を叩いたんだっけ。
流し目でこちらを見られた時には心臓が止まるかと思うくらいドキドキして。
俗に言う「一目惚れ」だったのだ。
「何してたん。課題？」
「…と、テスト勉強です」
「あー、頑張れ頑張れ〜」
「思ってないですね？」
「仕返しや」
「昨日はありがとうございました」から始まって、次はカワカミさんから話しかけてくれて、意外と優しい人と知って。
いつの間にか「おはようございます」を言えるようになっていた。
「あ、バス来ちゃった、さよなら！」
「はーい、またね」
ひらひらと手を振ってくれる彼に手を振り返して、バスに乗り込む人の列へ。
恋は盲目、なんてね。
春には似合わない風が指先をツキンと刺した。
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透果(プロフ) - 蒼崎雷ーあいーさん» ありがとうございます！長い間お待たせしてしまい、大変申し訳ございませんでした。そのように褒めていただけて嬉しいです。これからも頑張ります、宜しければまたリクエスト頂けると幸いです。 (2019年6月28日 17時) (
レス) id: 7b9265e1ee (このIDを非表示/違反報告)
蒼崎雷ーあいー(プロフ) - 素晴らしい作品をありがとうございます…(尊死) ドSと甘えたがいい感じに混ざっていてとても素晴らしく、好きです…(語彙力) これからも更新頑張ってください！応援してます！ (2019年6月28日 1時) (レス) id: d07a67f493 (このIDを非表示/違反報告)
透果(プロフ) - とりももさん» とりももさん、ありがとうございます。そうです、照れてます。笑 これからも楽しんでいただけるよう頑張ります、よろしくお願い致します。 (2019年6月6日 7時) (レス) id: 7b9265e1ee (このIDを非表示/違反報告)
透果(プロフ) - 蒼咲雷ーあいーさん» 蒼咲雷さん、嬉しいお言葉とリクエストありがとうございます。書かせていただきます。 (2019年6月6日 7時) (レス) id: 7b9265e1ee (このIDを非表示/違反報告)
とりもも(プロフ) - 透果さん» おお…いつもながら素敵な作品ありがとうございます…！可愛い…絶対川上さん最後照れとるやん。更新頑張ってください…応援してます！ (2019年6月5日 21時) (レス) id: 73693d041f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：透果 | 作成日時：2019年4月1日 7時
