雨_3 ページ40
sgi side
「はい、これ川上のだから安心して着ててね」
ぽん、と手渡したのはグレーのパーカー。
この時期に長袖は暑いかもしれないけど、オフィスには都合よく女の子用の着替えなんて無いから仕方ない。
川上だって、恋人が別の男の上着羽織ってるとこなんて見たくないでしょ。
てか見られたらもう俺どうなるかわからないし。
「タオルとかドライヤーとか使っていいからね」
「すみません、何か色々…」
「いや〜、こういう時くらいしか役に立たないから」
「いつもナイスガイじゃないですか。笑」
軽く言葉を交わして扉を閉めた。
ーーー
それから数分後。
洗面所の扉が開いた。
川上も特別背が高い訳では無いが、やっぱり女の子が着るとぶかぶかで。
なるほど、これが彼シャツってやつか。
…正確にはパーカーだけど。
「ありがとうございました、ドライヤーお借りしました」
「いえいえ〜、そろそろ来るらしいから待っときな」
任務完了、と心の中で呟いてもう一度ソファに腰掛けようとした、その時。
「こんにちは〜」
彼氏さん登場。
いやタイミングよすぎでしょ。
「……どういう状況すか、これ」
案の定飛んできた疑問の声に、はい！と小学生よろしく挙手をする。
おどけてでもいないと、動揺していることがバレてしまいそうだった。
須貝さん、と指名されたので軽く説明をする。
Aちゃんが雨で濡れてしまったこと、それで川上のパーカーを貸していること。
一通り説明すると、なるほど、と零して軽く前髪を整える川上。
「…なんで須貝さんのも乾かしてあるんすか」
ちら、と目線だけで俺の上着を指す川上。ええ、何。洞察力すごすぎて怖い。
「いや、えーっと、あの…」
先程の饒舌さはどこへやら。
少し口ごもると、今にも刺しそうな目で見られた。
言い訳はさせないってか。
「…A、もう帰ろ」
「え、拓朗今来たばっかり……」
「帰るで。お先に失礼します。」
「し、失礼します！」
たった今置いた荷物を持ち直し、Aちゃんの腕をぐい、と引っ張って帰っていく。
ああ、これはきっと家に帰ってお説教コースだろうな、と苦笑する。
俺まだ上着について話せてないのに。
頑張れの意味を込めて手を振って、自らの作業に戻った。
次の雨の日、彼女が「折り畳み傘あります！」とどこか誇らしげに語るのは、また別のお話。
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透果(プロフ) - 蒼崎雷ーあいーさん» ありがとうございます！長い間お待たせしてしまい、大変申し訳ございませんでした。そのように褒めていただけて嬉しいです。これからも頑張ります、宜しければまたリクエスト頂けると幸いです。 (2019年6月28日 17時) (
レス) id: 7b9265e1ee (このIDを非表示/違反報告)
蒼崎雷ーあいー(プロフ) - 素晴らしい作品をありがとうございます…(尊死) ドSと甘えたがいい感じに混ざっていてとても素晴らしく、好きです…(語彙力) これからも更新頑張ってください！応援してます！ (2019年6月28日 1時) (レス) id: d07a67f493 (このIDを非表示/違反報告)
透果(プロフ) - とりももさん» とりももさん、ありがとうございます。そうです、照れてます。笑 これからも楽しんでいただけるよう頑張ります、よろしくお願い致します。 (2019年6月6日 7時) (レス) id: 7b9265e1ee (このIDを非表示/違反報告)
透果(プロフ) - 蒼咲雷ーあいーさん» 蒼咲雷さん、嬉しいお言葉とリクエストありがとうございます。書かせていただきます。 (2019年6月6日 7時) (レス) id: 7b9265e1ee (このIDを非表示/違反報告)
とりもも(プロフ) - 透果さん» おお…いつもながら素敵な作品ありがとうございます…！可愛い…絶対川上さん最後照れとるやん。更新頑張ってください…応援してます！ (2019年6月5日 21時) (レス) id: 73693d041f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：透果 | 作成日時：2019年4月1日 7時
