徹夜(仮)_2 ページ18
your side
彼は倒れていた。……というより、これは。
「…こけた………？」
転んでいた。
大の大人が。部屋の片隅で。
「え、ちょっ…ええ、大丈夫です…？」
「…」
デスクに散乱した資料と横倒しになった数本のアルミ缶から推測するに、キッチンにエナドリ(追加分)を取りに行こうとしたのだろう。
頷いて立ち上がろうとするも、もう体は限界らしい。
指先が弱々しく床を引っ掻くだけで、ちっとも力が入っていないようだった。
「栄太さん、もう休みましょ」
「…」
そんな、無言で首を振られましても。
「もう三徹してますよ、これ以上は危ないです」
なお首を振る栄太さん。
目の下の隈が濃くなっている。
それすらアンニュイで格好いいなあ、なんて考えてしまうのは如何なものか。
「栄太さん、隈酷いですよ」
「…」
「ね、お布団行きましょ、 」
「…」
まだ無言か。
これは本当に限界が近そう。
こうなったら引きずってでも、と決心したその時、
「ぅわっ！？」
女子力の欠片も無い声を出してその場に倒れ込んだ。
腕を思い切り引っ張られたのだ。
立ち上がれもしないくせに、どこにそんな力が残っていたというのか。
なんとか体制を立て直して彼の前に座ると、ぎゅう、と抱きしめられた。
いや、だからどこにそんな力が。
「えいたさ、」
「……A」
久々に聞いた気がする声は、いつもよりワントーン低かった。
「……すき」
「っえ、」
栄太さんからそう言われることなんて滅多にない。
戸惑っていると、肩に預けられた頭からゆっくりとした呼吸が聞こえてきた。
「寝て……？」
言い逃げかよ、と心の中でツッコミを入れつつ、隣にあるクッションへ彼を誘導した。
それを枕代わりにすやすやと眠る彼は、どこかあどけなく、幼く見える。
少し青みの入ったふわふわの髪を撫で、私も好きですよ、と呟いて毛布をかけた。
時刻は午前4時。
まだ早いけど今日はお腹に優しい朝食を作ろうかな、と立ち上がる。
その前にまずこのデスクの片付けか、とつくため息さえ愛しく思ってしまうのは、惚れた弱みというものか。
開けっぱなしのカーテンが引っ掛けてある窓に目をやると、空は少しずつ白み、先程の雨は止んだようだった。
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透果(プロフ) - 蒼崎雷ーあいーさん» ありがとうございます！長い間お待たせしてしまい、大変申し訳ございませんでした。そのように褒めていただけて嬉しいです。これからも頑張ります、宜しければまたリクエスト頂けると幸いです。 (2019年6月28日 17時) (
レス) id: 7b9265e1ee (このIDを非表示/違反報告)
蒼崎雷ーあいー(プロフ) - 素晴らしい作品をありがとうございます…(尊死) ドSと甘えたがいい感じに混ざっていてとても素晴らしく、好きです…(語彙力) これからも更新頑張ってください！応援してます！ (2019年6月28日 1時) (レス) id: d07a67f493 (このIDを非表示/違反報告)
透果(プロフ) - とりももさん» とりももさん、ありがとうございます。そうです、照れてます。笑 これからも楽しんでいただけるよう頑張ります、よろしくお願い致します。 (2019年6月6日 7時) (レス) id: 7b9265e1ee (このIDを非表示/違反報告)
透果(プロフ) - 蒼咲雷ーあいーさん» 蒼咲雷さん、嬉しいお言葉とリクエストありがとうございます。書かせていただきます。 (2019年6月6日 7時) (レス) id: 7b9265e1ee (このIDを非表示/違反報告)
とりもも(プロフ) - 透果さん» おお…いつもながら素敵な作品ありがとうございます…！可愛い…絶対川上さん最後照れとるやん。更新頑張ってください…応援してます！ (2019年6月5日 21時) (レス) id: 73693d041f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：透果 | 作成日時：2019年4月1日 7時
