【短編集】君と過ごしていたい

※ぬいぬいといっしょ！【常磐ソウゴ／ジオウ】 ページ4

※特殊設定

まんまるもちもちのお顔、ふわふわの体、ちんまりとした手足。にこにこの表情を浮かべた人形……所謂ぬいと呼ばれる類のぬいぐるみをお迎えして早半年。私は最推しの我が魔王常磐ソウゴのぬいなしでは生きられないぐらいぬいを可愛がっている。ほんのりチークを入れたおかげでにこにこのお顔はもっと可愛くなった。添い寝もして、お出かけもして、恋人と言っても差し支えないぐらい可愛がっている。そして私はこのぬいの元ネタ…もとい元になった常磐ソウゴにガチ恋をしている。同担拒否でも無いから表面上は普通のオタクだけどしっかりリアコなのだ。そんなこんなで私はソウゴくんのぬいに毎晩｢大好き！｣とか｢愛してるよ｣とかひたすら言ったり一緒にテレビを見たりしている。ご飯はサンプルみたいなのを並べてあげて、お風呂は一緒には入れないので定期的に拭いて洗っている。
ちょっとした用事のはずがだいぶ長引いて、朝ソウゴくんのぬいにすぐ帰れるはずだからね！なんて声をかけたのにしっかり帰りは夜。ほぼ一日潰れてしまった事にガッカリしながら家に帰る。本当なら用事を済ませた後はぬいの新しいお洋服を探しに行ったりご飯を探したりしたかったのに。いつもの癖でただいまーと誰もいない家に声をかけながら入って違和感を覚える。テレビが着いているし電気もついている。私は泥棒がいるんだと思って咄嗟に玄関にある傘を構えつつとりあえず家を出ようとするとこちらに足音が近付いてくる。
｢A！！遅いよ！すぐ帰ってくるんじゃなかったの｣
私がぬいに気に入って付けさせていた時計モチーフのピンを髪につけた常磐ソウゴがそこに居た。混乱している私を後目に常磐ソウゴは薄らと涙目でこちらを睨みながら頬をふくらませる。
｢俺待ってたんだよ！せっかく動けるようになったのに！デートしてくれるって言ってたから待ってたのに！｣
確かに私はぬいに｢帰ってきたらデート行こうね｣だとか｢動いてくれないかなー｣とか言っていた。ファンタジーやメルヘンじゃないんだからぬいが動くわけないから私は言えたのであって、こんな、モロ人になるなら言わなかったのに。混乱はさらに深まっていくが常磐ソウゴはお構い無しに私に近寄りぎゅっと抱き締めてくる。
｢とりあえず、これからは早く帰ってくること。可愛い俺をほっといたらダメだからね｣
もう何も分からないし理解出来ないけど、ぬいぬいが本物になっちゃったみたいです。

教えてください！【ウォズ／ジオウ】→←そんなこと言われても【桐生戦兎／ビルド】

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