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Eブロックは初戦から白熱した戦いが続く。この日の為に鍛えてきたテクニック、考え抜かれたLBXのパーツ構成。その水準は全てにおいて高いものだ。そんなバトルが繰り広げられれば、目が離せなくならざるを得ない。主観的な視点を取り除けば、正直どのチームが勝ち上がってきてもおかしくない。勝敗は僅かな実力の差や、運までも絡んでくるだろう。
「郷田と仙道はどう思う」
「俺もどのチームが勝ってもおかしくねえと思う。それでも決勝戦で俺が倒してやるけどな」
「それでも潜ってきた修羅場の数としてはバンたちの方が多い、どうせあいつらが勝つだろうさ。あと倒すのは俺だ」
二人の視線上で火花が散る。
そういや、決勝は誰が出るか問題がまだ残ってたなあ。郷田と仙道のバトルはまだまだ続きそうだ。苦笑を漏らせば、ずいっと目の前にトマトジュースが差し出された。
「お前ら、飲むか?」
アスカだ。
有り難く頂いたトマトジュースを飲みつつ試合観戦を続ける。時たまアスカの方を見れば、お菓子を食べてトマトジュースを飲みながら戦いの分析をしている。言っていることはかなりざっくりとしているし、飲み食いしながらだからはたから見れば相当適当な奴である。そんな彼がAブロック突破者だから、人は見かけや態度で簡単に判断できないとはこのことだろう。
結局、予選Eブロック決勝の対戦組み合わせはバンチームとヒロチームとなった。俺たちからしたら安心というか当然というか。彼らも最も望んだカードだろうし、まあ良い流れだ。
視線を上へ向け、会場の天窓から差し込む陽の光を見て目を細めた。ああ、時間帯にしたら今が一番暑い時か。この時にこの大会の中で一番熱いバトルが見られるのだから、今回のアルテミスは恵まれている。
ジオラマの前で向かい合うみんなの秘めた闘志がここまで伝わってくるようで、自然と心臓の鼓動が強くなる。今まで何気になかった、味方である彼らが真剣にLBXバトルをする機会。それが世界最大のLBX大会で叶ったのだ、きっと嬉しいだろう。でも彼らが目指すのはその先、アルテミスでの優勝だ。一チームしか手に掴めない優勝の座。それだけを目指し、一戦一戦に全てをかける。
優勝の喜びを手に入れるまで彼らは満足などしない。楽しくも、己の実力がトップであることだって欲深く望むのだ。
どうか良きバトルを。
「これより予選Eブロック、決勝を始めます!!」
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作者名:とうか | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/toukahttp/
作成日時:2018年5月5日 16時