【ダン戦W】黒い世界の濁り 03 (ページ50)

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ぽちぽち、ぴこぴこ。
コントローラーでもあるCCMを操作し、画面を見続ける。オタクロスの部屋ということもあって、絵面が完全にゲーマーのそれだ。別に俺はゲーマーではない。

ランキングバトルも順調。有難いことにログインしているランカーも多く、片っ端からバトルの申し込みが出来る。ただいろんなカスタマイズや戦法を知れるのはいいが、実力自体はどうしてもバンたちに比べると物足りない。バンにはまだ勝てたことがないから、あまり俺は偉そうなことは言えないのだが。
バンたちの足を引っ張らないように、バンを守れるような力が必要なんだ。だから強い相手と戦って実力を上げたいのだが、ランキングバトルだと上位のランカーでないと難しそうだ。ランキングバトルは戦法やカスタマイズの情報収集として利用し、バトルそのものは他の手段を使うべきかもしれない。

そもそも、俺はどうしてそこまでして強くなりたい？そんなの改めて問うまでもない。ディテクターの起こすことを止めるため、そうしてバンのことを守るためだ。
では守るとは何だろう。LBXバトルで守るという意味なら、俺は全然駄目だ。バンを守るどころか、バン本人にバトルで勝てたことがない。情けないではないか。
精神的に守る、だとしたら？俺は今兄として何が出来ているだろう。バンの精神を支えられているのか、倒れないように手を繋いでいられているのか。
「こんなんじゃ、駄目だ」
俺以外いない部屋には小さな呟きもよく通る。自分の口から放たれた言の葉は、自分の耳へと戻ってくる。
もう一度心に強く留めておくんだ。バンを守る、その為には力がいる。強くなるんだ。
ランキングバトルは161位と微妙なランクだが、ここでランク上げするよりも仲間たちとバトルした方がいい。きっとジンやジェシカならBCエクストラスの会場から逃げ出しているだろう、連絡を取って相手してもらえばいい。

ぐっと力を入れ立ち上がる。その途端CCMに着信が入る。オタクロスから全員への一斉連絡だ。
『緊急連絡デヨ！オーストラリア、キャンベルンにてLBXの大規模な反乱発生！すぐにNICS本部にあるダックシャトルに乗り込み、現地に向かうデヨ！』
現実は待ってくれない。ディテクターはタイミングが分かっているかのようだ。

でも、守るんだ。