【ダン戦W】黒い世界の濁り 03 (ページ5)

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「なあ郷田、今この時、この瞬間。LBXを操作していても一切疑われない奴って誰だと思う？」
「は？」
固まってしまった。
「聞き方変える。このアルテミスという大会で、現在LBXを操作していないと駄目な人間って誰？」
「そりゃ、俺たちだろ。決勝戦してんだからよ」

そう。俺たち、もっと細かく言うと俺と郷田と仙道、そして相手のジャッカルだ。ジャッカルはこの予選ブロック決勝という重要な場面にも関わらず、マッドドッグを自動操縦させている。しかしジャッカルの指はCCMをずっと操作し続けている。それは、バトル以外のことをしたいが為のカモフラージュとも取れないだろうか。
「おい、それってまさか」
「推測の域でしかないが、正直殆ど答えだと思うけどな。仙道、俺たちが切り込む。華は持たせてやるよ」
郷田にはプライド的に少し申し訳ないが、早く決着をつける必要がある。そこまで配慮はしていられない。

「悪いな郷田、でも頼む」
「それくらい仕方ねえよ！やってやろうじゃねえか！」
スザクとハカイオー絶斗でマッドドッグへ攻撃を仕掛ける。インビジブルが切れたタイミングを狙い、槍で突き一瞬だけ動きを止める。そこを狙ってハカイオー絶斗の超我王砲を放つ。当たればラッキーくらいの気持ちで放ったものだ、当然さらっとマッドドッグにはかわされる。
「そう来ると思った！」
マッドドッグの動きを予測していた仙道が、ナイトメアを死角に回り込ませていた。そこから放たれるデスサイズハリケーン、見事にマッドドッグへと命中しその機体は宙で爆発する。
マッドドッグ、ブレイクオーバー。

観客の歓声と司会の高らかな勝利宣言で溜息を吐いた。チッと舌打ちを一つしてステージを降りようとするジャッカル。
「何をしていたんですか？」
その背中に疑問を投げかけるが、反応はなくそのままステージを去っていった。納得できない。
「おいA、どこ行くんだよ！」
「あいつを追いかける。お前らは先に控え室で待ってて！」
もしもジャッカルが暗殺者なら見失うわけにはいかない。拓也さんやオタクロスに連絡して拘束してもらわなければ。

明るい会場を抜け、入退場用の通路を走る。外に出るなら真っ直ぐ進むはずだから、追いつけるはずだ。
見えてきたジャッカルの背中。追いついた、そう思った時に背中越しに見えたのはまさかのアスカの姿だ。