【ダン戦W】黒い世界の濁り 03 (ページ35)

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すっかり日も暮れ、空は星と月が主役。森の中にある天文台の窓から見えるのは木ばかりで、遠くに微かに町の灯りが見える。自然の中だからか、みんな普段よりは少し精神的にもゆったりとしているようだ。
「紅茶の人～」
「はーい」
「ココアの人～」
「はいっ」
「オレンジジュースの人～」
「はーい！」
そして俺は飲み物係。最年長だからこれくらいはいくらでもするけど。

紅茶を飲みながら、ジェシカがそういえばと切り出した。
「ねえ、バンとAは昔LBXの開発を手伝ったりしていたの？」
時々忘れるが、父さんは名の知れた科学者でありLBXの開発者である。
「それはないけど……。でも小さい頃LBXの試作品を作ってるのは見たことあるよ」
「バンはよく父さんの膝に乗って見てたっけな。それにバンがLBXの話を聞いて『かっこいい』『欲しい』って言ったら父さん、嬉しそうだった。そういう意味じゃ、バンは開発の手伝いしてたかもな」
ジェシカの質問を皮切りにして、ヒロやランが色々と気になることをぶつけてくる。うーん、バンは別として俺はそこまで父さんを特別だとは見たことがない。ただ科学者として忙しくて家を空けがち……、死んだって嘘ついてだけど。
バンにとって父さんは家族として大切な人であり、誇らしい存在だ。俺よりもずっとその思いは強い。LBXを人一倍愛しているバンだからこそ、そのLBXの産みの親が自分の父であることがとても嬉しいのだから。父さんもそのことは分かっているだろうから、ディテクター事件のことも解決へと協力してくれている。

話の合間にヒロが母のことを口にする。イギリスに来てからも電話をしているが、まだ繋がらないのだという。折角会えるチャンスだったのに残念だ。少しだけでも電話で声が聞ければヒロの気持ちも違うだろうに。

「みんなっ、見て！」
突然ユウヤが慌てた声で窓の外を指す。何事だと窓の外を見ようと全員が集まってくる。
その光景に息を呑んだ。
「おいおい、嘘だろ……」
外に見えたのは天文台へと向かってくる数えきれない程の大量のLBX。またディテクターが何かを？
「あっ、皆さん。司令コンピュータの反応が！」
CCMを開いたヒロが叫ぶ。声明も無しにブレインジャックが発生したとでも。とにかく反応があるなら司令コンピュータの位置を特定しなければ止められない。

「オタクロス！司令コンピュータの位置を探って！」
すぐにオタクロスへと連絡を入れたジェシカ。しかしその答えは意外なものだった。