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気分としては正直あまり動きたくない。やはりどうしても家以外での生活が続くと疲れが溜まる。保護者的な感じでみんなを見ているということで砂浜で座っていたい。そうしよう。
着替えを済ませ適当に売店でパンを購入しビーチへ向かう。朝でもアロハロア島の日差しは強い、流石常夏の島だ。
「あー! A何で水着じゃないのー!」
ランに予想通りの言葉を投げかけられたが、保護者ということでなんとか納得させた。現に見回してもコブラもオタクロスもいない。どうせまだ寝ているか、自分たちが休暇を楽しんでいるかだ。まあ大人である彼らも見せないだけで疲れているはずだ。発散したって誰も怒らないだろう。
都合良く置かれていたビーチ所有のチェアに腰かけ、パンを食べながらみんなのことを眺める。波打ち際ではしゃぐ女子、潜って海中の様子を見るバンとヒロ、砂浜と海を交互に行き来して色々とやっているジンとユウヤ、泳ぎ対決をする郷田と仙道。暫くしたら砂浜でビーチバレー対決になった。必殺ファンクション名を叫びながらボールを打ち合う遊びゴコロ付き。
今だけは世界から切り離されてみんな子どもとして、一人の人間としての自由な時間だ。あと数時間もすればまた重たいものを背負ってしまう。重たい現実があるから余計に彼らの笑顔が切なく見えた。
午後。出発の時間だ。
アスカに「一緒に戦わないか」と誘いをかけたのだが、彼女には彼女でやりたいことがあるそうだ。強引には連れていけない。バンは「戦いたくなったらいつでも連絡をくれ」と繋がりを完全に断たないように声をかけていた。
郷田と仙道はミソラタウンへ戻る。
「ミソラは俺に任せておきな!」
「『俺たち』の間違いだろ。とりあえずはミソラにいるが、人手が足りなくなったら手を貸してやるよ」
「うん。ありがとう、二人とも」
バンの笑顔は安心しているものだ。ついてこられない残念さではない。自分の町に頼れる仲間がいる、そのことが純粋に嬉しい。
「俺も楽しかったよ。ありがとう」
二人と組んでアルテミスに出られた。最高の体験ができた。またどこかでそんな風に戦えたらいい。
ダックシャトルに乗り込み、アロハロア島を離れる。そのすぐ後に郷田と仙道がアキレス・ディードに襲撃されたことなんて知らずに。
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作者名:とうか | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/toukahttp/
作成日時:2018年5月5日 16時