【ダン戦W】黒い世界の濁り

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近づくにつれ、彼女のしているバトルは友人同士の真剣なバトルとは違うことが分かる。目を凝らすと、Dキューブからちらちらと見えている黒い機体を確認した。
アキレス・ディードだ。

もうディテクターが彼女とそのLBXを脅威と知ったのか。幾ら何でも早すぎる。
バンとヒロに彼女の助太刀を頼み、俺はコブラに連絡を取って報告と此処まで連れてくると役割を分ける。


十分程し、俺がコブラを連れてきた頃にはもうアキレス・ディードは逃走。バトルは終了していた。
彼女、花咲ランはバンと話しているがとても嬉しそうである。会話からするに昨年のアルテミス決勝を見てLBXを始めた、つまりはバンのファンらしい。
三人とコブラだけでこの後の会話も成り立ちそうだし、視線をDキューブの中に移す。

アキレス・ディードだけで襲撃したのかと思っていたが、ジオラマ内には破壊された別のLBXが転がっている。各部位からそれらは黒いクノイチとハンターと言えるだろう。

殺意にも等しい感情が湧いたのがはっきりと分かった。

ディテクターがこのLBXを向けたのは偶然などではない。先ほどの行われていたバトルでは、ディテクターはアキレス・ディードを含め三体のLBXを仕向けたことになる。
黒いアキレス、クノイチ、ハンター。バンにとって大切な機体たち、大切な仲間との繋がり。それを簡単に踏み躙った。許すなどという選択肢があってはならない。

怒りで脳内が埋め尽くされそうになるのを、深呼吸で落ち着かせバンたちの方に意識を戻す。
どうやらランを連れて旧シーカー本部へ向かうことになったようだ。ランは意外と乗り気であるのに対して、隣にいた彼女の友人は些か戸惑っている。そんな友人に「大丈夫」と一言告げて、その場で別れる。
パワフルな女の子だ。

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