【ダン戦W】黒い世界の濁り

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今時、そんな安っぽい台詞は物語の悪役でも滅多に言わない。

「ディテクター」は続ける。
この街は混乱に陥り、一瞬にして都市そのものが麻痺した。これは自分たちの力を見せつけるデモンストレーションに過ぎない。
しかも世界中に存在するLBXは、全て奴の意のままにできるとまで言うのだ。

そこで映像は途絶える。
簡単に言うと「世界征服」が目的。今のご時世ここまでテンプレートのような悪役が出てくるとは。

そのディテクターを「奴等」と呼んでいた怪しげな人物。彼は何者なのか。
「おっと、俺は味方だぜ。コードネームは『コブラ』だ」
俺の視線に気づいたのか、彼は漸く自分のことを話した。ヒロはコードネームの部分に格好良さを感じているようだが……。

少し場所を移動しコブラの車の近くへ。
そこへ着くなり、パソコンで何かを始める。俺だけでなく拓也さんも、未だにコブラへの警戒を解いてはいない。
そんなコブラは拓也さんや、バン、俺に、ヒロのことまで知っているという。情報が一方的すぎて全然彼への警戒が薄まらない。

今コブラが行なっているのは、この街の中枢を担えるレベルのコンピュータの逆探知。少し時間がかかりそうだ。
その空いた時間でバンが一つの疑問をぶつける。
アミとカズがディテクターに攫われた理由だ。

どうやらディテクターは各国から優秀なLBXプレイヤーを誘拐し、集めているらしい。しかしその目的や理由は判明していない。


変だ。
確かにアミもカズも優秀なLBXプレイヤーに違いない。でもトキオシアデパートにはバンもいた。昨年のアルテミスの優勝者であるバンが何故連れていかれなかったのか。俺とヒロが到着するまでに攫うなど、容易かったはずなのに。
バンの存在に気づかなかった？ いや、そんなはずもない。

ディテクターだって、存在を公にすれば自分たちに対抗しようとする組織が作られることくらい分かる筈だ。その為に厄介な人物は潰すか、自陣に引き込むかするだろう。
馬鹿なのか強大な組織なのか分からない。

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