10.慄然 *微グロ?注意 ページ10
頭が真っ白になった刹那、視界に映ったのは、__ヒュッ ととんできた黒いナニか。
反射的に避けた私の前には咳をする、りゅー君の姿。
「ゲホッ ゲホッ 僕も銀も一つ目の約束は諦めたが… 二つ目は守ろうと足掻いているぞ?なのになんだ、貴様は自身の変化に恐れ慄いただけか?」
「っ 」
「自身が変わらぬ様に縮こまっていただけか?」
目の前にいるのはかつての彼ではなく、黒外套を纏っている、数日前路地裏であった彼。
黒曜石の様な漆黒の眼がギョロリとこちらを見ている。
「否。自身の変化にさえも眼を背け、他者に自身の願望を重ねているのか…」
「__りゅー、くん?」
力が抜け、ペタリと座り込んだ私。
それを厳しい目で睨む彼。そして
___「愚者め。 その様な弱者、僕は知らぬ。大人しく死ね」
吐き捨てられた言葉に、上下に揺れて静止した世界。それはまるで、手から離れた撮影機の様に横を向いたまま動く気配が無くて___
…あれ、可笑しいな。膝小僧ってこんなに大きかったっけ。
…ここの床ってこんなに紅かったっけ。
…なんで自分の上半身が見えるんだろう。
りゅー君の後ろ、遥か後ろに女の子が立っているのが見えた。
ワンピースから伸びる腕は鱗の様なものがついていて…陸に上がったばかりの人形みたいで… その子が困った様な顔をしている。 口を一文字に閉めて、慈悲深そうな目でこっちを見てる。
そんな事を考えた後、漸く自分の事がわかった。夢の中だから痛みが無かったのかも知れないね。だからこんなに解るのに遅れたんだな。
___私、芥川龍之介に首を刎ねられたのか…
頭を失った私の身体は、紐が切られたマリオネットの如く バタリと音を立てて地に伏した。
[歯車は滞る事なく廻る]
やけに目覚めの良いレム睡眠だった。
16人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
玉槻七海 - 中原三日月さん» 閲覧に感想、ありがとうございます!更新頑張ります! (2019年2月16日 15時) (レス) id: 0aa4805012 (このIDを非表示/違反報告)
中原三日月(プロフ) - 運命とは、いかに残酷なのでしょうね……と考えさせられました。更新頑張ってください!応援してます! (2019年2月13日 5時) (レス) id: f8510eae2e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:玉槻 | 作成日時:2018年12月29日 15時