5.悶々 ページ5
少女は泪を拭いて歩き出す。青年の存命に安心して。
「りゅー君変わってなかった、なぁ」
さらさらとした髪に白いもみあげ。左手で口を抑える癖と、＿＿人一倍臆病な性格。
昔、あの貧困街にはごみ捨て場の様な場所があった。ううん、何処に行っても清潔な場所は無かったけど、一般の人たちが不法投棄していって貝塚みたいになっていた場所。
よく旧い本が積み重ねてあって其れで平仮名も片仮名も漢字も覚えた。
臆病なりゅー君は、兎に角他の人を敬った。だから知識を蓄えてきた次の日には一人称が
写真に写ってる［芥川龍之介］は“りゅー君”の隠れ蓑なんだと思う。だって、りゅー君は優しいから。優しい性格じゃあ、マフィアで生きていけないから。大丈夫。彼は変わってない。
「私もそうだったらよかったのに…」
変わっちゃった私を見たら彼らは、りゅー君と銀ちゃんは何て云うんだろう、何て思うんだろう。折角見つけたのに、また遠ざかっていっちゃうのかな…そう思うと目の前がほら、また滲んでくる。
「…嫌だよう」
噎せた息を吐き出すと、咄嗟に口元に添えた手に生暖かい液体の感触。紅くてドロドロと気持ち悪い。これは…….血だ。
「……嫌だ」
貧困街も地獄だった。なのに…地獄の外も地獄だった。これじゃあ仕合わせは何処にあるの…？
温度のない掌が頬に触れた。自分のものなのに自身の感覚が感じられない掌に疎ましさが増したけれど結局は、現実はどう待っていても変わらない。なら自分で変えなきゃ…
「出来るわけないじゃん…」
ポケットから一枚の紙を取り出す。其処には掠れた字で［芥川龍之介を暗殺せよ］と書かれていた。
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玉槻七海 - 中原三日月さん» 閲覧に感想、ありがとうございます！更新頑張ります！ (2019年2月16日 15時) (
レス) id: 0aa4805012 (このIDを非表示/違反報告)
中原三日月(プロフ) - 運命とは、いかに残酷なのでしょうね……と考えさせられました。更新頑張ってください！応援してます！ (2019年2月13日 5時) (レス) id: f8510eae2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉槻 | 作成日時：2018年12月29日 15時
