30.理由 ページ30
顔に影を落とし「私の推理ショーをしよう」と太宰さんは云った。
「Aは組織に拾われて、流行り病で亡くなった者の
その赫い腕の持ち主は流行り病で亡くなっている。ではその病の感染経路は? 空気などでは無かっただろう。考えられるのは飛沫、接触、粘膜__血液。 血液辺りが妥当だ。
腕に残っていた僅かな血液から感染し、病にかかった。身体の順応なんて異能を持っているのなら、身体の活性化もしていた筈だ。死期なんて簡単に早まる。だから、髪や皮膚はガサガサだった…こんなところかな」
成長していくにつれ死期が近づく事に恐怖した。自分の醜い姿を
だから彼女は『変わる』事に固執した。
『変わらないで』欲しかったから。
「対峙した時、触れられる事を嫌がっていたのは、もし君が病原菌持ちの血に触って感染なんかしたら…死んでも死にきれなかったのかもね」
杯の縁を指でなぞり、お代わりの二杯目の珈琲を啜る。少し零してしまったけれど、拭くのは後でいいや。未だ未だ彼の目から泪が零れるだろうから。全て流れた後で吹けばいい。
真実に近い推理は終わった
今は彼を泣かせてあげよう
【芥川龍之介】が【りゅー君】に戻れるのは、今だけなのだから。
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玉槻七海 - 中原三日月さん» 閲覧に感想、ありがとうございます!更新頑張ります! (2019年2月16日 15時) (レス) id: 0aa4805012 (このIDを非表示/違反報告)
中原三日月(プロフ) - 運命とは、いかに残酷なのでしょうね……と考えさせられました。更新頑張ってください!応援してます! (2019年2月13日 5時) (レス) id: f8510eae2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玉槻 | 作成日時:2018年12月29日 15時