14.困惑 ページ14
陽が傾いて、茜が指してきた。そろそろ帰らなきゃね。また明日から仕事か…と重たくなってくる足を引きずり、無花果と兄の衣類の入った鞄を胸に抱き直す。
仕事で疲れた兄を癒すのはこれくらいだからね。
「おい！もう帰る時間だぜ！」
「まだ明りーからいいじゃねぇか！」
「うちは母ちゃんが煩いんだよ！」
「そうだよ。ハヤトの言う通りだ。それに云うでしょ？“カラスが鳴くから帰ろ”って」
「確かにカラス、鳴いてんな」
「ほら、帰んぞ」
私の腰丈くらい子供が前方からやってきて、私のすぐ右脇をパタパタと駆けて行った。…微笑ましいなぁ とほっこりして、ショーウィンドウを無意識に見たのも束の間、
「っ！」
慌てて後ろを振り返る。顔は大きな帽子のつばに隠れて見えない…けど。 僅かに見える下に垂れている白髪。一瞬 鏡に映ったサングラス越しの紅い眼。
「…A？」
帽子を被った人は、止まる事なく人並みに紛れて見えなくなった。
道に残った私は、吃驚した衝撃で落ちた無花果に気が付かない儘、呆然としていた。
私とは対象して、周りは非情に淡々と時を刻む。いつのまにか夕の刻も着々と終わりに近づき、夜がやってこようとしていた。
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玉槻七海 - 中原三日月さん» 閲覧に感想、ありがとうございます！更新頑張ります！ (2019年2月16日 15時) (
レス) id: 0aa4805012 (このIDを非表示/違反報告)
中原三日月(プロフ) - 運命とは、いかに残酷なのでしょうね……と考えさせられました。更新頑張ってください！応援してます！ (2019年2月13日 5時) (レス) id: f8510eae2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉槻 | 作成日時：2018年12月29日 15時
