13.休日 ページ13
__久しぶりの休日。
何時もは顔を隠すマスクを取り、黒髪を下ろす。鏡の中の私は、黒蜥蜴の銀じゃない。ただの少女だ。 今日は兄さんの衣服を洗濯に持って行って…喫茶店にでも行こうかな。
テラテラとヨコハマを照らす太陽を鬱陶しそうに見る。今日は少し暑い。
洗濯店に衣類を任せて、何時もは通らない人が多い道を歩いている。…こんなに人が多いんだから、最早私は普通の少女にしか見えないんだろうな… 一般人に混じれている、というほっこりした感情を抱えながら珈琲店に向かった。
同年代の子が好みそうな甘い珈琲を片手に、海の見える公園の柵に寄りかかる。
海は凪いでいて、鴎がアーアーと鳴いている。
…A
兄さんに会ったというA。あっちの今の状況が全く解らない。でも元いた場所が、貧困街。私達みたいにマフィアに拾われたか、別の組織に拾われた可能性が高い。
…もし、Aが異能力なんか持っていたら…
…もし、敵対なんかしたら…
「無理。手なんて出せない」
珈琲を思い切り吸って、代わりに溜息を吐いた。この先は考えたくないな…
視界の淵に何か動いているのが見えた。
柵の上に、都会じゃあ見ることの少ない天道虫がチョコチョコと歩いている。 そっと人差し指を前に置くと、登ってくる気配も見せずに飛び立っていってしまった。
「はぁ…」
カモメが旋回しながら、五月蝿く鳴いていた。
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玉槻七海 - 中原三日月さん» 閲覧に感想、ありがとうございます!更新頑張ります! (2019年2月16日 15時) (レス) id: 0aa4805012 (このIDを非表示/違反報告)
中原三日月(プロフ) - 運命とは、いかに残酷なのでしょうね……と考えさせられました。更新頑張ってください!応援してます! (2019年2月13日 5時) (レス) id: f8510eae2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玉槻 | 作成日時:2018年12月29日 15時