12. 動揺 ページ12
｢って事で、ここを潰そうか｣
｢承知致しました、首領｣
首領からのお呼ばれがあった。次の殲滅対象は、最近この巷で麻薬の密輸をする組織だそうだ。 マフィアの本拠地の在る此処で密輸など…愚かな。まるで潰してくれと云っているようなものだ。
｢あ、そうそう。 うちの優秀な諜報員君が資料を送ってくれたから、見るといい｣
バインダーに挟まれた数枚の紙には文字がびっちり詰まっている。…が、
｢些か少量なのでは？｣
｢…うん。それだけの組織って事さ｣
＿＿本当に面倒くさいよね、エリスちゃ〜ん
＿＿知らないわよ。あっ リンタロウ！見ないでよ！
＿＿ごめんねぇ エリスちゃ〜ん。気になっちゃって。何描いたの〜？
＿＿リンタロウには教えないわ！
……ペラリ、ペラリ。
部下には見慣れた何時ものやり取りは完全に遮断し、食い入るようにして一点を凝視する。……嗚呼、何故。何故お前がそこに…
｢……首領｣
自身の声は震えていた。エリス嬢に
｢＿＿何か異論はあるかね｣
首元にメスを当てられたような、ビリビリとした空気。首領の命令は絶対。
｢…何も｣
頭を下げて、首領室を出る。手元の資料には、殲滅対象の顔写真が乗っている。
｢……何故だ…！｣
資料の3枚目裏。下から3段目、右から2番目。
＿＿＿そこには無表情のAが此方を見ていた。
＊＊＊
｢何描いてたの？エリスちゃん｣
｢リンタロウには教えないわ！｣
画用紙は赤いクレヨンでテカテカしている。 中心にぐるぐると楕円が一つ。そこからぴょんぴょんと細い線が幾つか。
それは花火のような、彼岸花のように見えた。
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玉槻七海 - 中原三日月さん» 閲覧に感想、ありがとうございます！更新頑張ります！ (2019年2月16日 15時) (
レス) id: 0aa4805012 (このIDを非表示/違反報告)
中原三日月(プロフ) - 運命とは、いかに残酷なのでしょうね……と考えさせられました。更新頑張ってください！応援してます！ (2019年2月13日 5時) (レス) id: f8510eae2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉槻 | 作成日時：2018年12月29日 15時
