検索窓
今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:928 hit

『客人なら歓迎するけどそれ以外はお断り』 ページ4

八尋寧々は源先輩に鱗を使わなかった。否、使えなかった。故に人魚の呪いにより、魚姿で水槽に入っている。




「私の願いはそんなものだったんだ」と泡と涙が水槽の中を震わせた途端、選択教室の床が揺れる。



《さても さても》《ヒトとはまっこと愚かな生き物よ》と人を卑下しながら室内に現れたのは、ヤシロ曰く人面魚、眷属を迎えに来た人魚であった。





「営業妨害だ」と呟いた七番目のトイレの花子さんは人魚の鋭い(ヒレ)に飛ばされ、小さな身体は机に埋まる…かと思われた。




side__八尋寧々



「…え」


『うわっ …と危ないですね。怪我はありませんか?七番目』



「えっ!」





飛んでいった花子さんを誰かが抱えている。

切りそろえられた前髪に日本人形みたいに整ったあどけない顔…それに着物…?





《お主…!何奴!》



『えーっと貴女は…ああ!人魚ですか!まさか君達、人魚の鱗を使ってこのような事態に…』





花子さんを下ろして、下を向き髪をくしゃくしゃとしだした女の子。



《妾の問に応えよ!》




人魚が怒って花子さんにやったように尾鰭を振るった。驚いた事に女の子は無言で尾鰭を掴んじゃった!



『この学園の学校童子のカモメです。どうぞ宜しく』




凛とした声でそう応えたかと思うと人魚の尾鰭をぱっと離した。そうすると人魚は彼女を嘲り笑った。





《学校童子?…学校童子っ!たかが学び舎の守り人が千歳を生きる妾に歯向かうか!》




再び鰭を向けてくる人魚に、彼女は言った。





『まあ、お待ちください。争いごとは好まないんです。それに、七番目は未だその子の願いを叶えておりません。私、学校童子は学校を守る者。生徒は言わずもがなその対象でございます。そしてお話がもう1つ。

ここは水辺ではございません。私の守備範囲でございます。ですので…お帰りを願います』





ぺこり、と彼女が頭を下げた途端、人魚は床に埋まっていき、机が元のように戻りだした。





『例え千歳を生きる貴女でも、ここで私と…では辛いものですよ』




完全に上がった顔に薄く開かれた目は全く笑っていなかった。



《おのれ学校童子イイイイ》と言い残し人魚は消えた。




残ったのは水槽の中の私と安心した顔の花子さん、そして『学校で私に勝てる訳ないやん』と溜息をついた女の子だけだった。

「学校童子って噂じゃなかったんだ」→←「ごん、お前だったのか」



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (3 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
3人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:高槻 | 作成日時:2020年2月25日 8時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。