10：欲張り（後藤藤四郎） ページ10
後藤くん、ごめんね。笑うなんて酷かったよね。
大将の声が耳に届くが、振動から直接聞いているような錯覚を覚える。
小さく身じろぎした大将に、さらに身を寄せる。
俺は今、大将の背中にしっかりとしがみついていた。
こうしていると大将の表情が見えず、余計に心配になるが今は仕方ない。
鼻を小さくスンと鳴らしてから、俺は大将の背中に語りかけた。
「……別に」
「そうそう、別に独りきりの留守番で寂しくなったわけじゃないんだよね！あくびして涙が出ただけだよね！」
「ぐっ……大将、フォロー下手かよ」
思いがけず拗ねたような声になってしまった俺に、様子を伺おうとしてか大将が振り返ろうとする。
顔を合わせるのはまだ恥ずかしくて、背中に顔を押し付ける。
こうやっているだけで安心できてしまうから不思議だ。
さっきまでの不安が、波が引いていくようにすーっと引いていくのが分かる。
優しい体温が心まで温めてくれる。
前にまわした手に大将の手が重なり、すっかり癒された俺は【好き】を表すためにぎゅっと力任せに抱きしめる。
「ぐぇ」
「……大将、可愛くない」
苦笑しながらそういえば、大将が思い切り寄りかかってきた。
「へへっ、俺はデカいからな。大将、いつでも寄りかかっていいぜ！」
「後藤くんはいいお兄さんだよ、ホント」
頼りにしてるよ、なんて嬉しいことを言ってくれるから俺は上機嫌で大将の頭を撫でる。
チビどもにするようなそれに大将は小さく笑った。
照れているらしい。
「えっと。ほら、庭で弟くんたちが遊んでるよ」
「大将〜……どこ見てんだよ！こっちだろ、こっち！」
背中から少し離れて無理やり大将と向き合う。
キラキラとした瞳で見上げられて、ばかみたいに欲張りな俺は正面から抱きしめる。
(誰のものにもなりませんように)
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でゅー(プロフ) - マイさん» わかりました！リクありがとうございます！ (2019年5月14日 20時) (
レス) id: b6ddde2ec1 (このIDを非表示/違反報告)
マイ - 日向くんが好きなので、お願いできますか？ (2019年5月13日 1時) (レス) id: dc20a671de (このIDを非表示/違反報告)
でゅー(プロフ) - ゼルクレアさん» 承知致しました！一期の切な甘い系、いいですね〜。リクありがとうございます (2016年8月27日 15時) (レス) id: 7acb23c39d (このIDを非表示/違反報告)
ゼルクレア(プロフ) - リクエストお願いできますか？一期一振の切ない系の甘い話でお願いします！ (2016年8月24日 19時) (レス) id: 75be5ce900 (このIDを非表示/違反報告)
でゅー(プロフ) - のぞみさん» 了解です！安定は書いたことないので書きますね〜！リクありがとうございます (2016年8月7日 15時) (レス) id: 7acb23c39d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：でゅー | 作成日時：2016年2月11日 15時
