03：今日は近侍1（へし切長谷部） ページ3
主命とあらば。
上目遣いに見えなくもない伺うような瞳に、緩く笑む口元。
少し身体を乗り出す様にして、こちらに熱い視線を投げている。
久しぶりにへし切長谷部を近侍にしたら、張り切っているのが良く分かった。
彼はこんなにも分かりやすい刀だっただろうか。
「主、何なりとお申し付けください」
私が無言で頷くのを繰り返すものだから彼も焦れているのか、この言葉を念押しのように繰り返す。
浮かぶのは雑用ばかりで、期待のこもった眼差しからそっと視線を逸らして考える。
後は私だけでも十分だし、きびきびと立ち回っては忙しく働く彼には休息が必要に思えた。
「へし切長谷部」
「はい、主」
「自由時間にしていいよ、何かあったら呼ぶね」
「え、あの……何でもしますよ。本当に今日は良いのですか？」
困ったような声音に視線を戻せば、真っ直ぐこちらを見る瞳があった。
彼の精悍な目つきが瞬きする度に揺らぐのを見て、おやと思う。
鍛刀したばかりの頃は何を言っても「かしこまりました」と涼しげな顔で聞き入れてくれた記憶がある。
……久しぶりに近侍にしたから自信はないけど。
へし切長谷部といえば、演練での余所の様子や聞いた話から、主の命令が最重要で成し遂げる為なら自分の感情を消して生命をも削る、という印象が強い。
そんな先入観から、無理をして欲しくなくて、彼には簡単な言伝を与えていた。
避けていた、と正直に言うべきか。
私は彼の自己犠牲も厭わない忠誠心が苦手だ。
彼の力強い瞳も言葉も受け止められない。応えられない。
そう思っていた。
「今日の近侍は俺です。今日くらいは、お側に……」
耐えるような表情と震えそうな声。
勝手なイメージを押し付けられていた目の前の彼は、他の打刀と同じだ。
まだまだ幼さが見え隠れする。
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でゅー(プロフ) - マイさん» わかりました！リクありがとうございます！ (2019年5月14日 20時) (
レス) id: b6ddde2ec1 (このIDを非表示/違反報告)
マイ - 日向くんが好きなので、お願いできますか？ (2019年5月13日 1時) (レス) id: dc20a671de (このIDを非表示/違反報告)
でゅー(プロフ) - ゼルクレアさん» 承知致しました！一期の切な甘い系、いいですね〜。リクありがとうございます (2016年8月27日 15時) (レス) id: 7acb23c39d (このIDを非表示/違反報告)
ゼルクレア(プロフ) - リクエストお願いできますか？一期一振の切ない系の甘い話でお願いします！ (2016年8月24日 19時) (レス) id: 75be5ce900 (このIDを非表示/違反報告)
でゅー(プロフ) - のぞみさん» 了解です！安定は書いたことないので書きますね〜！リクありがとうございます (2016年8月7日 15時) (レス) id: 7acb23c39d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：でゅー | 作成日時：2016年2月11日 15時
