14：終わりの夜（一期一振） ページ14
「自慢の弟たちです」
そう言って話を締めくくると主は熱心に頷いてくれた。
他愛ない日常の話、戦の話、内番の話。
頑張っていた姿や成長した姿を主に話して伝えれば、
「一期さんは良いお兄さんだよ」と穏やかな声が返ってくる。
こうして主と話していると妙に安心する。
大切な彼らを思い浮かべて一期も柔らかな表情を浮かべた。
この本丸に顕現して、二度目の秋を迎えた。
季節は同じはずなのに主と話すときは随分と苦労するようになった。
主のお気に入りの弟たちの良き兄、一期一振。
主だってそれを望んでいるから弟たちの話はいつも熱心だ。
良き兄。そんな顔をしてないと、どんな顔で会ったらいいのか分からんのです。
この、心動く感情もなんなのか分からない……。
「一期さん、弟さんの話はもういいから一期さんの話が聞きたい」
そんな言葉に黙って頷いて、それから私は眉を下げる。
弟たちの話題以外に、主に何を話したらいいのか。私は意外にも不器用だったらしい。
主と話がしたかっただけなんだが。
じっと見つめられる主の視線に耐えきれず、
「お茶をお持ちします」
と微笑みを浮かべて部屋を出てきてしまった。
上手く笑えていただろうか？
自分は良き近侍だろうか？
それもこれも全ては主に嫌われたくないからだ。
でも、実際はどうだろうか。
もしかしたらろくに話も出来ない自分のことを、主は嫌っているかもしれない。
そうして漏れそうになるため息をこらえて、
お茶を乗せたお盆を片手に部屋の障子を開き、私は首を傾げた。
いつの間にか机に突っ伏して静かになった主を見下ろす。
どうやら戻ってくるのが遅くなったらしい。すぅすぅと小さな寝息が聞こえる。
主に対する感情は、弟たちに抱く愛情とは似ているようで別の感情。
その瞬間、胸にストンと落ちてきた答えに私は諦めたように笑う。
ただの良き兄ではなくなったらしい私は、柔らかな毛布を主にかける。
今日から、きっと。
始まりの朝。
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でゅー(プロフ) - マイさん» わかりました！リクありがとうございます！ (2019年5月14日 20時) (
レス) id: b6ddde2ec1 (このIDを非表示/違反報告)
マイ - 日向くんが好きなので、お願いできますか？ (2019年5月13日 1時) (レス) id: dc20a671de (このIDを非表示/違反報告)
でゅー(プロフ) - ゼルクレアさん» 承知致しました！一期の切な甘い系、いいですね〜。リクありがとうございます (2016年8月27日 15時) (レス) id: 7acb23c39d (このIDを非表示/違反報告)
ゼルクレア(プロフ) - リクエストお願いできますか？一期一振の切ない系の甘い話でお願いします！ (2016年8月24日 19時) (レス) id: 75be5ce900 (このIDを非表示/違反報告)
でゅー(プロフ) - のぞみさん» 了解です！安定は書いたことないので書きますね〜！リクありがとうございます (2016年8月7日 15時) (レス) id: 7acb23c39d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：でゅー | 作成日時：2016年2月11日 15時
