12：親鳥のようだ（宗三左文字） ページ12
空の青さに眩暈さえ覚えた。
浮かぶ白が、映える緑が、揺れる水面が……世界が眩しい。
僕はその場から動けず、縁側から見える景色を見つめる。
ちりんと涼しげな音が鳴った。
「ここにも夏が来たの。宗三さんは夏は初めて？」
「夏は知っています……かごの鳥と無知を同義にしないでください」
ため息をひとつこぼすと、「ごめんね、ごめん」と乾いた笑いが返ってきた。
「手に入れるだけで使いもしない。その期間が長かっただけのことですよ」
とはいえ、僕は夏の景色から目が離せないでいた。
視覚、聴覚、嗅覚で感じる夏。
目を閉じて実際の感覚を拾っていく。
この主に会ってから、なくしたものを数えてばかりだ。
「宗三さん、かき氷あるから食べましょ」
背中から呼びかける声に振り返ると、かき氷をひとつ手にして手招きする主の姿がある。
かき氷の赤は、いちご味だ。冷たい甘味で夏の定番だと聞く。
しゃりしゃりと軽い音をたてる主の横に座れば、かき氷をすくったスプーンを口元に出される。
「ん、あーん」
「……貴方、何を考えて？」
「急いで食べると頭痛くなりますからね」
「貴方には僕が短刀にでも見えるんですか？」
いいからいいから、と尚も口をつついてくるスプーンに、仕方なく口を開く。
シロップの甘さが口に広がった。
咀嚼している間に主もかき氷を一口ほおばる。
……それ、同じスプーンなんですが。
そういうのを気にしているはずの主なのに、この姿でも短刀たちのように扱うのですか。
眉間にしわが寄ってしまう。
結局、全部食べさせてもらってしまった。
「ごちそうさまでした。ふふっ、血色がよく見える」
そう言って僕の唇を撫でる。
(そんな不意打ち、ずるくないですか)
主の唇の赤にも眩暈を覚えた。
13：当たって砕けろ（大和守安定）→←11：きみが花だったら（大倶利伽羅）
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でゅー(プロフ) - マイさん» わかりました！リクありがとうございます！ (2019年5月14日 20時) (
レス) id: b6ddde2ec1 (このIDを非表示/違反報告)
マイ - 日向くんが好きなので、お願いできますか？ (2019年5月13日 1時) (レス) id: dc20a671de (このIDを非表示/違反報告)
でゅー(プロフ) - ゼルクレアさん» 承知致しました！一期の切な甘い系、いいですね〜。リクありがとうございます (2016年8月27日 15時) (レス) id: 7acb23c39d (このIDを非表示/違反報告)
ゼルクレア(プロフ) - リクエストお願いできますか？一期一振の切ない系の甘い話でお願いします！ (2016年8月24日 19時) (レス) id: 75be5ce900 (このIDを非表示/違反報告)
でゅー(プロフ) - のぞみさん» 了解です！安定は書いたことないので書きますね〜！リクありがとうございます (2016年8月7日 15時) (レス) id: 7acb23c39d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：でゅー | 作成日時：2016年2月11日 15時
