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告白15「すきだったよ」 ページ16

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『…樹、今のじゅり私嫌いだよ』






そういうと、樹はバツが悪そうに離れてくれた。


でもその表情はすごく寂しそう。




樹「ごめん……ごめん。」






樹は謝ると、自分の傘を置いたまま駅方面へと走った。





私はその背中が小さくなるまで見送る。



樹が使えという意味で置いて行った傘を、私は樹にまた甘えて開いた。




土砂降りだった雨が、私に降り注ぐのを中断して傘にあたっては跳ねる。







行かないと。


阿部くんの元へ。







弾かれるように走って、私は今までにないくらいのスピードで大学に戻った。





門をくぐると、そこには





『阿部くん……!』






ふっかさん、佐久間くんと一緒に並んで歩いている阿部くんの姿が目に入った。





私は思わず駆け寄る。






『あべく、』







す、と時が止まったように思えた。





すれ違うこの一瞬で、私だけが取り残されたような。



阿部くんは私の前にもういない。


無視された。理解できてしまった。







私はまた走って阿部くんの前に入る。



佐久間くんが困ったように笑って口を開いた。



佐久間「あー…ごめん、俺ら今から用事あるから。ごめんね、明日にしてくれる?」






阿部くんの代わりに緩く断った佐久間くんを、私は決意した瞳で見つめた。



佐久間くんの視線が揺れ動く。








『阿部くんに話したいことがあるんです。』









そう言っても、佐久間くんは引かない。





佐久間「明日じゃダメなの?」






『だめなんです…!!』






キッパリとそういうと、彼は参ったというように笑って阿部くんの方を見た。




阿部くんは肩をすくめる。







『明日なんてないから』






そういうと、阿部くんはちょっと驚いたように私をみた。






『今日言わなかったら、阿部くんは私を避けて喋るタイミングがないです』







阿部くんがちょっと笑う。



今この瞬間でも、かっこいいなんてふと思ってしまった。







「正解、だよ」









口を開けばそんなことを言う。









「俺のどこが好き?」




『ぜん、』



「全部か」








先手を打たれて私は阿部くんの方を向き直すと、ニヤリと笑う彼と目があった。





初めて見る表情。


また釘付けになるからやめてほしい。







「じゃあ聞くけど」








「俺の全てを知ってるの?」








そう聞かれて、私は絶句した。









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告白16「阿部くんの全て」→←告白14「迷惑」



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さゆ(プロフ) - 凄く好きな小説が、目に入り、見てみました!!阿部ちゃん、最高です!!これからも更新頑張ってください!!!! (2020年1月15日 17時) (レス) id: adcb5930fd (このIDを非表示/違反報告)
ぽむりんこむ - つくもさん» あべちゃん不良キャラは我得でしかないけど書きたかったんだ (2019年11月30日 16時) (レス) id: 6385c24a4a (このIDを非表示/違反報告)
つくも(プロフ) - はーい( ^∀^)/おひさー!デビュー曲やばいぃぃぃ!で、阿部ちゃんを不良にするとは (2019年11月28日 22時) (レス) id: 04d305e3fc (このIDを非表示/違反報告)
ぽむりんこむ - momoさん» うそーごめんね、語彙力ないんだわ…別垢から失礼 (2019年11月10日 17時) (レス) id: 6385c24a4a (このIDを非表示/違反報告)
momo - 混乱 (2019年11月3日 21時) (レス) id: bd74373af8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぽむりんこむ | 作成日時:2019年9月23日 21時

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