K〜ココロのキズ〜

＃４ ページ5

十束「あはは、そんな厳しい顔しないで？別に君をどうこうしようとか考えてないから。」

警戒されてる？

まあ、そりゃそうか。

目が覚めたら知らない場所にいたんだもんね。






でも、それより気になるのはやっぱり・・・







最初に俺を見た時のあの瞳。






怖がられてる？

まだ何もしていないのに。

少し考え込むと、彼女は俺を思いっきり睨んで、

A「・・・・・・誰。」

と訊いてきた。

その睨みように、ちょっとだけひるんでしまう。

もう、警戒されてるとかいうレベルじゃないね。

十束「わあ。警戒心丸出し。まるで俺が悪いことをしたみたいな。」

ゆるっと対応してみるけど、彼女の表情は変わらないまま。

十束「俺は十束多々良。警戒してるようだから一応言っとくけど、悪い人じゃないからね？」
A「十束・・・多々良・・・」
十束「うん。『十束さん』でも『多々良』でも好きなように呼んで。」

ニコニコしながらそう言ってみる。

少し経つと、また質問が飛んできた。

A「ここは？」

やっぱり睨んだままだった。

十束「ここ？ここはね、ＨＯＭＲＡっていうバーの二階だよ。まあ、ここ俺の家じゃないんだけどね。俺の知り合いが経営してるんだ。」
A「知り合い？」
十束「うん。」

そう答える。

彼女の顔がさらに厳しくなったのは気のせい・・・かな。

俺が優しくすればするほど警戒されてるような気がする。









『人間不信』









なぜかそのとき、その単語が俺の脳裏によぎった。

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