K〜ココロのキズ〜

＃１４ ページ15

A side


私がここに来て一ヵ月。

十束さんはあの後も数回、私をバーＨＯＭＲＡに連れて行った。

連れて・・・(半強制的に)行かれた。

だんだん慣れてきたけど、やっぱり怖いものは怖い。

毎回行くたびに人数増えてるし。

男だらけだし。

『コンコン、ガチャ』

あ、もしかして。

十束「入るよ〜！Aちゃん、今日も下、行こう。」

やっぱり。

今日こそは断りたい。

A「い・・・」
十束「今日は草薙さんしかいないから！」

断られるのを察したのか、十束さんは私の言葉をさえぎった。

A「草薙さん、だけ？」
十束「うん。」

くっ・・・。そんな「行くよね？」みたいな顔されても・・・。

でも、草薙さんだけなら・・・。

A「はあ・・・、わかりました。」
十束「やった！」

十束さんが嬉しそうに笑った。


この一ヵ月で私は変わった。

もう人を信じまいとかたくなに誓っていたのに。

気が付いたら十束さんを、吠舞羅の人たちを頼ってる。

もう一度、人を信じてみたいと思い始めてる。

みんなとても優しくて、ここならやっていけると思った。

本当のことがばれなければ。

本当の私を知られなければ、私はここでやっていける。

初めてここにいたいと思う場所ができた。

ここから離れたくないと。

今までいた場所とは違うと。

本当のことが・・・





私がストレイン・・・、異能の力を、回復の力を持つ者だと知られなければ。

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