ネズミ in ネズミ【3話】 ページ5
容疑者リスト
一室に集まった一同。
「悲しくも起きたこの事件。私が解決してみせましょう」
公平が高らかに宣言した。
猫田が公平に訪ねた。
「おいお前。誰が犯人なのか、わかっているのか」
「ええ、もちろん。この事件は実に単純な動機から起こった衝動的な殺人だ。なんといっても被害者の鳥取さんが犯人を教えてくれている」
「あなた、あの変な暗号の意味がもうわかったの?」
神山は疑わしそうに公平を見た。
「簡単なことです。今から説明しましょう」
周りがざわめく中、公平は自信ありげにうなずいた。
「その前に、井畑さん。あなたはこの会社の社長ですね?」
井畑は少し驚きながら、
「いかにも。それがどうした、私が犯人だとでも言うのかね?」
「いや、殺人犯ではありませんけど、でも警察に後ろめたいことがあるでしょう?」
公平は内村警部の方へ目をやった。
「どういうことだ!公平くん!」
「まあ警部、落ち着いて」
公平は内村警部の肩を押さえながら、
「それでは、まずこの会社のことから話しましょう。岩岡宝石店。一流ブランドでも知られているこの会社。きらきらと輝く宝石はセレブ達を魅了します。その価格は数億円を越えるものもある。では、もしこの宝石が偽物だったらどうでしょう」
一瞬、部屋の中が凍りついた。
「お前!何を言う!そんなわけないだろう。うちの会社が詐欺をしているとでも言うのか!!」
猫田が公平の言葉に怒鳴った。しかし、公平は挑戦的な目をした。
「ええ、そうですとも。井畑さん、あなたが一人で自首しようと思っていたんでしょう?」
公平は井畑の瞳を見ながら言った。
「ああ、そうだ……でもお前よくそんなことまで知ってるな」
感心した顔で井畑はうなずいた。
「それは以前、別の依頼の時に少し調べましてね。あなた達には社内で使う、コードネームがありますよね?」
「公平くん、いつの間にそんなことを……」
内村警部は驚いた。
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作者名:商社へGO(しょーごしゃん) | 作成日時:2017年8月29日 19時