りんごジュース (ページ13)

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りんご型爆弾大事件【4話】ページ13

思わずため息が出た。いったいなんなんだ。
「泉さん？どうしたんですか」
角谷さんが不安そうな顔で聞いてきた。

「公平が脱走しました」
「えっ、もうすぐ出番なのに」

そうだ。時間がないのだ。早く迎えにいかないと、おそらく自分からは出てこないだろう。

「このメール見て何か思うところありますか？」
さっきのメールを彼女に見せてみた。なんとなく、そうした方がいい雰囲気がしたからだ。すると、彼女はなぜか喜んだ。
「わあ、名探偵からの挑戦状ですね。私こう見えてもこういう暗号得意なんですよ」

彼女は数分考えたあと、元気よく手を挙げた。
「はいっ、わかりました。公平さんはコスプレ写真館にいます」
「理由は？」

「暗号の区切りを平仮名に直して、横に並べると、
　
おくじょうで
だまって
のこぎりくわがたと
ぶしのかっこうをした
なつめそうせきの
がっしょうをきいています

になります。これを一番上の文字だけを読むと『織田信長』になります。食べ物が中心の文化祭で織田信長が関係するのはコスプレ写真館だけ。たぶん公平さんは織田信長のコスプレをして待ってるんじゃないでしょうか？」
　
驚いた。見事な推理だ。彼女頭がいいみたいだ。それにしても公平馬鹿じゃないか・・・私は心で愚痴をこぼしながら、彼女と共にコスプレ写真館へ向かった。

すると案の定、織田信長スタイルの公平がいた。

「公平さん、急いでください。あと１５分で出番ですよっ」
「お～任せとけ」

・・・・・・・・・・・不安要素しかないが。