りんご型爆弾大事件【3話】 ページ12
やっとのことで迎えた文化祭。昨日の夜まで公平のスピーチの練習に付き合わされたことは一旦忘れよう。角谷さんから事前に指定されていた舞台裏に向かった私たち。彼女は私たちを見つけると、笑顔で迎えてくれた。
「よかった。来てくれたんですね」
「もちろん、約束は守りますよ」
格好つけているが、まだ公くんなのだから、油断できない。
「じゃあスピーチは3時間後ですので、時間まで回りますか?」
「行きましょう!」
そんなにわかりやすく喜んでいたら、馬鹿に思われますよ。と思っていた私は、
「そうですね!おすすめは○△喫茶なんですよ」
・・・・・案外彼女も同類なのかもしれない。
「じゃあ行きますか、京子ちゃん」
「はいっ、公平さん」
いつのまにか名前で呼び合っている。
アイス、クレープ、ケーキと周り、もうそろそろ戻った方が、という時だった。
「あれ、公平はどこに行きました?」
「それが、たこ焼きを買いに行ったきり、戻ってこないんですよ」
これはまずいんじゃないか。彼は探偵なのに、方向音痴なのだ。
「公平が興味を持ちそうなもの・・・」
「あっ、あれなんかどうです?」
『コスプレ写真館―どなたでもどうぞ―』
いかにも公平が興味を持ちそうだ。彼女意外にも人を観察するのがうまいのかもしれない。
「そうだな、公平が好きそうだ」
―pipipi―
メールが来た。送り主は、
「公平だ。何やってんだあいつ」
メールの内容はこうだ。
『泉ちゃん、俺姿くらますから、京子ちゃんと一緒に探しに来てよ。もちろん訳なしでこんな事してるんじゃないよ。平ちゃんと相談して考えたことだから。
屋上で
黙って
ノコギリクワガタと
武士の恰好をした
夏目漱石の
合唱を聞いています。
これ、平ちゃんが考えたから安心して。じゃあ待ってるから』
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作者名:商社へGO(しょーごしゃん) | 作成日時:2017年8月29日 19時