4 side M ページ10
「俺がプリント出しに行ってる間に、次が移動教室になったって教室で叫ぶようなヤツだった。」
ロッカーで着替えてると必ずドア開けるし。
球拾いしてたらあいつの速球が飛んでくる。
「うんうん。」
「戻ったら俺は教室に置いてけぼりなわけ。
どこ行ったか知らねぇし。」
翔さんが聞いてくれるのをいいことに、俺の口はどんどん回るし、酒も進む。
思った以上に覚えているみたいだ。断片的な記憶がぽつぽつと蘇ってくる。
「……ん？」
でも、これって…。
話していて思ったけど。
もしや、これ。
悪かったのは。
「そんなに思い出があるのに、会わないで帰って来ちゃったの？」
あー、俺？俺なのか？
いやいや、でも。少なくとも最初のプリント落下事件は俺じゃない。はず。
別に、ぼんやり黒板なんか眺めてなかった、はず。
俺のせいじゃ…
「え、ごめん、なんて？」
「今日、会えただろうに。」
「や、だって…、俺も、こんなナリだし。」
中学生から成長していない訳ではないけど。
人間で言ったら、20か30くらいの見た目だろ？
明らかにおかしい。
「それはまあ、会える時点でおかしいんだから。」
「そうだけど…。」
「あまりにも驚かせてしまうかな。」
「ていうか…、怪異とか、そういう不思議系？
嫌いだったんだよ。」
確か…なんか、家でやばい箱を預かっていて。
それに陶酔する家族が嫌なんだと、一度だけ聞いたことがある。
怪談話とか、露骨に避けてたし。
たぶん、そういう系に近しい家柄だったんだろう。
自分の存在もざっくり言えばそれらの範疇に入ると思っている。
なんでそんな話になったのか忘れたけど、まあ、それなら伝える必要もないなって。
「そっか、それなら。こんな時に打ち明けたんじゃ、悪いよね。」
「悪い…？」
「やっと落ち着いたのにそんなカミングアウトされたら、タイミング悪いよねって話。」
「……翔さんが会いに行けと言っている。」
「いやいや。」
くつくつ笑いながら翔さんは自分のグラスに酒を注ぐ。
俺にもください。
差し出したら注いでくれたけど、それはチェイサーの水だ。
「ただ、後悔はしてほしくないかな。」
「…分かってるよ。」
移動教室、置いていったくせに。
あいつは絶対戻ってきた。大慌てで。笑えるくらい。
なんでいないんだよ、って。
誰のせいだよ。
二人して遅刻するし、マジ散々。
お前が悪い！
お互いに指を差し合った。
タイミングが悪いのは、今に始まったことじゃない。
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ちえさん(プロフ) - tottoさん» わ、嬉しい！とても楽しみです(*´∇｀*) (2021年7月16日 10時) (
レス) id: 3481c0175f (このIDを非表示/違反報告)
totto(プロフ) - ちえさんさん» ありがとうございます。更新が物凄く遅くなってごめんなさい。喜んでいただけて、私もとても嬉しいです！今回のお話は裏話を少々考えているので、また書かせていただきます(^^) (2021年7月15日 22時) (レス) id: 9333ef94f5 (このIDを非表示/違反報告)
ちえさん(プロフ) - 言葉にすると軽いのですが、沁みました。松潤の肩をポンと叩いてあげたくなりました。更新、本当にありがとうございます。嬉しかったです。 (2021年7月15日 9時) (レス) id: 3481c0175f (このIDを非表示/違反報告)
totto(プロフ) - ちえさんさん» ちえさんこんにちは！今回は、毎年見ていた光景をどうにか忘れないようにしたいと思い立ち、途中で路線変更して書きました。風景描写は苦手なのですが良いご感想をいただけて嬉しいです！ (2020年12月21日 23時) (レス) id: a02e508065 (このIDを非表示/違反報告)
ちえさん(プロフ) - こんにちは。今年は夏祭りがなかったので、こちらで楽しませてもらいました。祭りっていいですよね。絵が浮かびます。見守っているような描写がホントに好きです。ありがとうございました。 (2020年12月21日 14時) (レス) id: b2bd56270d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：totto | 作成日時：2020年12月18日 22時
