2 side M ページ46
リビングに入ると、昨日も一昨日も見た光景が広がっていて。
深緑色の袷着物の青年がソファーでお茶をすすっている。
俺に気付いて体を動かすと、裾に裏地の黄色が映えた。
白目の無い茶色の瞳が、光を受けてビー玉のように透き通る。
「ただいま。」
『おきゃーり。お邪魔しとおね。』
「いらっしゃい。また翔さんに呼ばれたの？」
『ショウさんの為ならすーぐ駆け付けんよ。
なに、牛頭馬頭の仲じゃないねえ？』
「誰が牛頭馬頭だよ。獄卒じゃねーか。どんな仲だ。」
まごめさんは各地を旅する行商人で、翔さん曰くビジネスパートナーらしい。
まだ駆け出し商人の頃に翔さんがお世話をしたとか、最近は医薬品の調達でまごめさんがお世話してるだとか。
「まごめさんって精霊馬だったんでしょ？」
『うん。盆頃はそりゃあまあ忙しぃくて。色んなお人を運んだっけえ。』
「それがなんで商人に？」
『居ちゃ土地で迎え盆をやらないんなって。どうしょーかなあと思とたら、ショウさんが、精霊馬で彼岸に行きょるなら彼岸花の根が欲しいんて。それが最初の注文。』
それから物を届けるのが楽しくなって、次第に商売も始めるようになったんだとか。
そんな有能行商人のきっかけを作った翔さんは、大判風呂敷の前でうんうん唸っている。
紅葉染めの風呂敷の上には、水晶玉、一升瓶、ネズミ捕り、郵便ポストと多様な品が並んでいた。
ポストの隣には鏡餅まで置いてあって。
見つめていたら、目が合った。合ってしまった。
『あ、その子ぉは近頃正月飾りがブームらしくて。ちょと、早うね。』
一つ目鏡餅。頭(?)の上には金柑。
元が何なのかさっぱり分からない。
風呂敷以外にも葛篭が二つと金箱が一つ。
翔さんの隣で品物を眺めていた相葉さんが、葛篭のひとつを開けようとしていた。
『相葉くん、開けてもいいけど、用心しとおと。それは化け葛篭だから。』
「ひぇっ、ばけつづら？！なに？」
『開っけヒトによって出てくうモノが変わるきゃね。金銀財宝、魑魅魍魎。ほら、お人の昔話でよくある。』
「へー、俺なら何が出るかな？」
『さてねえ。』
開けちゃう？開けちゃう？なんて不穏な声が聞こえるが、まごめさんも笑ってるだけだし、向こうは放っておこう。
もし魍魎が出て来たらどうやって相葉さんごと摘まみ出そうか。
そんな事を考えながら、俺は翔さんを止めにかかる。
このままじゃ、こんな町はずれまで来てくれる郵便配達人を失うことになりかねない。
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totto(プロフ) - かえさん» ありがとうございます。本当に当たりなのか？！(笑)その辺りも含めて見ていてあげてください。 (2016年10月12日 23時) (
レス) id: c963255682 (このIDを非表示/違反報告)
かえ(プロフ) - 今回も大当たり間違いなしですね(^^)留守番組も楽しみですが、三人のプチ船旅も楽しみにしてますね♪ (2016年10月11日 21時) (レス) id: cf909ea54e (このIDを非表示/違反報告)
totto(プロフ) - かなさむさん» 鬼さんは正体を隠す気があるんだか無いんだか。次回更新は留守番組の予定ですが、三人のぷち船旅も楽しみにしててください！ (2016年10月11日 0時) (レス) id: c963255682 (このIDを非表示/違反報告)
かなさむ(プロフ) - むふむふー。鬼と俺。楽しみすぎる。 (2016年10月9日 23時) (レス) id: 87b8d3969e (このIDを非表示/違反報告)
totto(プロフ) - かなさむさん» かなさむさん、こちらこそいつもご感想をありがとうございます。ひめ姐さまはその通りです！狗神白味噌さんと一緒にいる姐さんです。彼らもそのうち再登場することでしょう。 (2016年8月12日 23時) (レス) id: c963255682 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：totto | 作成日時：2015年11月29日 11時
