5 side O / A ページ39
「ごめんね、騙すようなことして。」
謝る相葉ちゃんに松潤が溜め息を吐く。
なんでこの家の奴は皆こうなのかな、って。
俺もこっそり出掛けたことがあるから何も言えない。
「別に止めやしねえのに。まだ行かないのかって、そっちを気にしてたくらいだから。」
「松潤〜！」
「ニノに後を託された俺としては胃が痛い…。」
「ごめん翔ちゃん。あ、でもね、俺がいる限りホンモノ相葉も無事だから。」
安心してって相葉ちゃんは言うけど、影の相葉ちゃんが消えたらもう既に相当まずい状況ってことなんじゃないかな。
翔ちゃんの胃からキリキリ音が聞こえてきそう。
それからご飯を再開して。
松潤は片付け、翔くんは仕事の準備。
俺も出なきゃなあ、面倒くさいなあ。
相葉ちゃんの姿が見えないと思ったら、庭で水やりをしてくれていた。
ホースの先を指で潰して水を勢いよく飛ばしてる。
昨日の朝、どっちが遠くまで飛ばせるか二人で競ったっけ。
こうして見ると、普通に相葉ちゃんがいるみたい。
「相葉ちゃん。」
「なに？」
「昨日の約束覚えてる？」
「覚えてるよ、今練習中。次は絶対負けないかんね！」
「ふふ、うん。」
また来週水まき勝負しようねって、ホンモノ相葉ちゃんとした約束もちゃんと覚えてる。
「影の相葉ちゃんもホンモノ相葉ちゃんも一緒なんだね。」
「うん、元々ひとつだからね。頭の中も基本は一緒。」
「基本？違うとこがあるの？」
ホースの水が頭上高く上がる。
雫が飛んで、頬に触れて。
キラキラ弧を描く下で、小さな虹が見えた。
「影ってさ、光が届かない部分なんだよ。」
どうして過去を捨てたのか。
その理由さえ覚えていない俺は、それ程酷いものだったのだと、嫌だったから捨てたのだと。
自分はそんな奴なのだと、思ってた。
‘それだけ欲しかったんだよ。’
足元から声がして。
自分と同じ顔が語る。
‘欲しかったから、捨てたんだ。遺したかったから、手離したんだ。’
意味が分からないよ。
‘唯一を選んだんだよ。’
‘新月は、月が映してきたことをなかったことにできる。’
知ってるよ。だから俺は。
‘でも、光の届かない場所に月の力は及ばない。例えば、俺の名前が残ったように。あいつの呼び名が残ったように。’
足元から立ち上がって、壁に映った同じ顔。
月明かりの影法師。
‘傍に欲しかったから。傍に遺したかったから。’
‘手離したモノは、空から遠く大地の底に。’
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totto(プロフ) - かえさん» ありがとうございます。本当に当たりなのか？！(笑)その辺りも含めて見ていてあげてください。 (2016年10月12日 23時) (
レス) id: c963255682 (このIDを非表示/違反報告)
かえ(プロフ) - 今回も大当たり間違いなしですね(^^)留守番組も楽しみですが、三人のプチ船旅も楽しみにしてますね♪ (2016年10月11日 21時) (レス) id: cf909ea54e (このIDを非表示/違反報告)
totto(プロフ) - かなさむさん» 鬼さんは正体を隠す気があるんだか無いんだか。次回更新は留守番組の予定ですが、三人のぷち船旅も楽しみにしててください！ (2016年10月11日 0時) (レス) id: c963255682 (このIDを非表示/違反報告)
かなさむ(プロフ) - むふむふー。鬼と俺。楽しみすぎる。 (2016年10月9日 23時) (レス) id: 87b8d3969e (このIDを非表示/違反報告)
totto(プロフ) - かなさむさん» かなさむさん、こちらこそいつもご感想をありがとうございます。ひめ姐さまはその通りです！狗神白味噌さんと一緒にいる姐さんです。彼らもそのうち再登場することでしょう。 (2016年8月12日 23時) (レス) id: c963255682 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：totto | 作成日時：2015年11月29日 11時
