6 side S ページ26
テーブルを拭いて、シャツを着替える頃にはだいぶ落ち着いていた。
カルテが濡れなくてよかった…。
ニノが新しいお茶を入れてくれたので、改めて話の続きをする。
「出るって…、出られるの？」
ニノは頷く。
「出られることは出られます。問題は、出た後なんすよね。」
そう言って、両手で顔を擦った。
交通事情とか分っかんないな。歩行者は右側だっけ、なんて。心配しても仕方がない事ばかりぶつぶつ呟いている。
そっか、この部屋のピリリとした空気は。
ニノの緊張が伝わっているのか。
「目標は役場のスタンプなのよ。」
「スタンプ？そんなのあるの？」
「大野さんが頼まれて作ったんだって。最近だよ。」
「へえ、知らなかった。」
あの人そんなこともやってたんだ。
役場はさすがに近付かないからなあ、住民登録してないし。町長が智くんに免じて気付かない振りをしてくれているらしいけど。
絵柄は何か聞いたら、ニノにも分からないそうだ。
「翔さんにも押してきてあげる。」
「ああ、うん、ありがとう。」
「行って、押して、帰ってくる。んで、おしまい。簡単でしょ？」
大野さんが昼寝中に出かける予定。
下手したら寝てる間に帰って来ちゃうかもね。
そんな理想をさらさらと語るニノは、一度も俺の目を見なかった。
そう上手くいかない可能性を、本人が一番感じているんだろう。
閉め切った窓の向こうから、草木がさざめく音がやけに耳に付く。
ざわざわと、胸の内を掻き乱す。
「でも、もしかしたら、ちょっと寄り道をするかもしれない。」
ちょっとそこまで行く。
ちょっと寄り道してくる。
なんてこと無いように言うのは、緊張を誤魔化す為か、安心させる為か。
後者だったら、そんな配慮は必要ない。
「器に引っ張られたら？」
「…せっかくオブラートに包んでんのに。」
「ごめん。でもきちんと話しておいた方がいいと思って。」
ニノはじっと俺を見ると、ため息を付いた。
じゃあ単刀直入にと、左手をテーブルに乗せ、何やらカツンと音をたてる。
テーブルに置かれたのは、先端に少し錆のついた赤褐色の鍵だった。
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totto(プロフ) - かえさん» ありがとうございます。本当に当たりなのか？！(笑)その辺りも含めて見ていてあげてください。 (2016年10月12日 23時) (
レス) id: c963255682 (このIDを非表示/違反報告)
かえ(プロフ) - 今回も大当たり間違いなしですね(^^)留守番組も楽しみですが、三人のプチ船旅も楽しみにしてますね♪ (2016年10月11日 21時) (レス) id: cf909ea54e (このIDを非表示/違反報告)
totto(プロフ) - かなさむさん» 鬼さんは正体を隠す気があるんだか無いんだか。次回更新は留守番組の予定ですが、三人のぷち船旅も楽しみにしててください！ (2016年10月11日 0時) (レス) id: c963255682 (このIDを非表示/違反報告)
かなさむ(プロフ) - むふむふー。鬼と俺。楽しみすぎる。 (2016年10月9日 23時) (レス) id: 87b8d3969e (このIDを非表示/違反報告)
totto(プロフ) - かなさむさん» かなさむさん、こちらこそいつもご感想をありがとうございます。ひめ姐さまはその通りです！狗神白味噌さんと一緒にいる姐さんです。彼らもそのうち再登場することでしょう。 (2016年8月12日 23時) (レス) id: c963255682 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：totto | 作成日時：2015年11月29日 11時
