3 side M ページ23
そう言って、真っ黒な瞳がこちらを向いた。
太陽の化身だと言うこのヒトの目が、陽を受けて艶やかに光る。
なるさんはいつも、真っ直ぐに人の目を捉える。
俺の向こうに過去まで視られてるんじゃないかと思うこともあるけれど、それは決して威圧的なんかではなくて。
まるで見守られているような気になってしまうから不思議だ。
導きの鳥は、今までいったいどれほどの人生を視てきたのか。
暫くじっと俺を視た後、なるさんは嘴の端を持ち上げて笑った。
『お前の今までの行動がこの日を招いたと言っても過言じゃあない。
突き進む姿勢が周りの奴らを動かしたんだよ。』
「俺は別に…。」
『もっと誇っていいぜ。無駄なことなんて一つもない。
お前が動かなかったら、あいつらは永遠あのままだったろうさ。』
ああ、なんだろう…。
此処に来た頃は意味のない疎外感を抱いたこともあったけど。
此処に居ていいのだと、改めて言葉にされたような。
自分の存在を丸ごと肯定されたような。
「………なんか、なるさんが優しいと気持ち悪い。」
『ばか、これも報酬だよ。嬉しいだろ？』
「褒め言葉が？」
『ま、今のはおまけだな。ほんとの対価はこっち。』
ほらよ、と言ってなるさんがこちらに何かを投げた。
キャッチした手のひらを開いてみると、それは真っ黒な宝石だった。たぶん持ってきた荷の中にあった物なんだろう。
なるさんの翼を、瞳を、そのまま溶かし込んだような。
何にも染まらない、完全な黒。
「何これ？」
『今のお前に必要なもん。』
「俺に？」
『今度は待たなきゃなんねえだろ？』
「ああ…そうだな。」
ここまできたら、もう俺に出来ることはない。
後はあいつ自身が選ぶこと。
あいつらが選んだ結果を、俺は待っていなくちゃいけないんだ。
『待つってのはなかなか大変だぜ。動くよりもずっと、信頼と信念が要る。』
真黒の宝石――オニキスは、迷いなき信念の石。
曇りない漆黒のように、あいつらが安心して進めるような強い楯になりたい。
「こんなもの無くたって、」
『まあ持っとけって。せいぜいガンバレ。』
「なんだよそれ。」
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totto(プロフ) - かえさん» ありがとうございます。本当に当たりなのか？！(笑)その辺りも含めて見ていてあげてください。 (2016年10月12日 23時) (
レス) id: c963255682 (このIDを非表示/違反報告)
かえ(プロフ) - 今回も大当たり間違いなしですね(^^)留守番組も楽しみですが、三人のプチ船旅も楽しみにしてますね♪ (2016年10月11日 21時) (レス) id: cf909ea54e (このIDを非表示/違反報告)
totto(プロフ) - かなさむさん» 鬼さんは正体を隠す気があるんだか無いんだか。次回更新は留守番組の予定ですが、三人のぷち船旅も楽しみにしててください！ (2016年10月11日 0時) (レス) id: c963255682 (このIDを非表示/違反報告)
かなさむ(プロフ) - むふむふー。鬼と俺。楽しみすぎる。 (2016年10月9日 23時) (レス) id: 87b8d3969e (このIDを非表示/違反報告)
totto(プロフ) - かなさむさん» かなさむさん、こちらこそいつもご感想をありがとうございます。ひめ姐さまはその通りです！狗神白味噌さんと一緒にいる姐さんです。彼らもそのうち再登場することでしょう。 (2016年8月12日 23時) (レス) id: c963255682 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：totto | 作成日時：2015年11月29日 11時
