7 side N ページ14
幽霊は人を求めて動く。
潤くんはそんな見解を得たらしい。
良くも悪くも心に遺る誰かを求めて、あるいは自分に気付いて気に掛けて、愛をくれる誰かを求めて。
寂しい彼らは、人恋しさに、人に憑く。
「亡くなった場所とかに留まってる霊もさ、常に窺ってんだよな。よく“ついてきちゃった”とか言うだろ。」
「ああ、なるほど。」
「幽霊をその場に繋ぐって、結構難しいことなんだよ。」
潤くんの部屋はデジタル時計だから、無音の部屋に淡々と語る声が響く。
心地好い低さで、その声だけを理由に憑いてもいいと思う。
だけど俺は、出掛ける潤くんについていくことはできない。
なぜ？
「だから結界を創らなきゃならない。メジャーなのは注連縄とか御札とか、碑の配置で縛ったりしてさ。ご先祖様曰く、人の噂や好奇心も縛るんだっけか。」
「注連縄に御札ねぇ…。」
「ニノの場合、その代わりが名前や記憶…ニノ自身が持っていたモノなんだろ。
そこまでくれば後は…、」
「潤くん？」
話す声が小さくなって、それまで凛と開いていた潤くんの目が、とろんと揺れた。
「どうした？眠い？」
「急に…。さっき飲んだ薬のせいかも。」
「翔さんに一服盛られた？」
「生薬だろ…。」
「ふふふ、疲れさせたかな。また明日にしよう？」
「待って…もう少しで…。あとすこしだけ…。」
眠たそうな潤くんは、重たい腕を持ち上げてこちらに手を伸ばしてきた。
握ってみたら、違うと言われた。
「術をかけるのも解くのも、必要なのは、念か言霊か、仕草…。」
念は視えない。俺らに伝えられない。
言葉も、普通の会話のようだった。
それならば、と。
潤くんは俺の手を取って、手のひらを合わせた。
右手と左手。
ご先祖様と俺が、最後にそうしたように。
「お前が眠る直前、手を…合わせてた。手を合わせるのは、繋がりの象徴だから…。」
鍵が分かれば、錠が開く。
もし、同じことで解けるのなら。
そんな、簡単な事で。
「でも、リーダーと手を、合わせるなんて、そんなの…。」
限界が近い潤くんの声が小さく消えていく。
「だから…、もう…。」
“答え”を口にできないまま、潤くんは眠りに落ちていった。
大丈夫、言いたいことは、全部分かったよ。
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totto(プロフ) - かえさん» ありがとうございます。本当に当たりなのか？！(笑)その辺りも含めて見ていてあげてください。 (2016年10月12日 23時) (
レス) id: c963255682 (このIDを非表示/違反報告)
かえ(プロフ) - 今回も大当たり間違いなしですね(^^)留守番組も楽しみですが、三人のプチ船旅も楽しみにしてますね♪ (2016年10月11日 21時) (レス) id: cf909ea54e (このIDを非表示/違反報告)
totto(プロフ) - かなさむさん» 鬼さんは正体を隠す気があるんだか無いんだか。次回更新は留守番組の予定ですが、三人のぷち船旅も楽しみにしててください！ (2016年10月11日 0時) (レス) id: c963255682 (このIDを非表示/違反報告)
かなさむ(プロフ) - むふむふー。鬼と俺。楽しみすぎる。 (2016年10月9日 23時) (レス) id: 87b8d3969e (このIDを非表示/違反報告)
totto(プロフ) - かなさむさん» かなさむさん、こちらこそいつもご感想をありがとうございます。ひめ姐さまはその通りです！狗神白味噌さんと一緒にいる姐さんです。彼らもそのうち再登場することでしょう。 (2016年8月12日 23時) (レス) id: c963255682 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：totto | 作成日時：2015年11月29日 11時
