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8 side O ページ8

「神主さまが、悲しむ人がいるのはきっと土地神様もお喜びにならないからって。」

「ほんとに行かない?行かなくていいの?」

「いいの。違う方法を土地神様に御伺いするって。」


嬉しそうに、少し興奮気味に伝えるニノに嘘は視えない。
人柱にならないのなら、じゃあどうして、ニノは…。


「暗くなっちゃったけどさぁ、どうしてもすぐ伝えたくて。阿吽に無理言って来ちゃった。」

『こいつ連れてけうるさい。』

「うう〜にのぉ!!」


今まで溜めていたものが爆発して、とうとう泣き出した相葉ちゃんは、ニノに縋りついて大声を上げた。
近所迷惑だよ、なんて言うニノの手はその背中を優しく摩っている。
気を利かせた阿形が戸を閉めて、相葉ちゃんの足元に伏せた。
暫くして、声が止んで。宥めるように背中を叩いて身体を離す。


「抜け出してきちゃったし、夜も遅いから今日は帰るよ。」

「途中まで送ってく。」

「いらないよ、阿形がいるし。まーくんが帰り一人になっちゃうでしょ。」

「うん…じゃ、また明日ね。気をつけてね。」

「また明日。」


昼間とは全く違う気持ちで手を振った。
また明日、いつもの畑で、いつもみたいな話をしよう。
約束した薄青の袴は夜闇の中に溶けていった。

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作品ジャンル:ファンタジー
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totto(プロフ) - 初うさぎさん» 初うさぎさん、はじめまして。コメントありがとうございます。すみません今頃気付きました(>.<) 温かくなってくださいましたか?とっても嬉しいです(^-^*)今後もよろしくお願いします。 (2015年12月31日 11時) (レス) id: c840215f83 (このIDを非表示/違反報告)
初うさぎ(プロフ) - はじめまして・このお話の世界観に惹かれ、一気に読ませていただきました。素敵なお話が多く、心が温かくなります。これからも楽しませていただきます。では続きにいてきま〜す(#^.^#) (2015年12月20日 9時) (レス) id: 6cde87a74e (このIDを非表示/違反報告)
totto - かえさん» かえさん、こんにちは。過去編で重めの話が多かったのであったかいのも書きたいな、と。いつもコメントありがとうございます(^ー^)更新頑張りますね! (2015年5月13日 0時) (レス) id: 03ed178ab0 (このIDを非表示/違反報告)
かえ(プロフ) - tottoさん。お久しぶりです(^^) お題:あい。素敵ですね。そのすべてがその場所に…いつも更新を楽しみに待ってます(^^) (2015年5月10日 21時) (レス) id: 80843bd474 (このIDを非表示/違反報告)
totto - レイカさん» レイカさん、はじめまして。コメントありがとうございます。お褒めいただき光栄ですo(^-^)o 文才...ありますかね?これからも精進いたします。 更新はとても遅いですが、今後もよろしくお願いしますね。 (2015年4月12日 18時) (レス) id: 03ed178ab0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:totto | 作成日時:2014年12月2日 22時

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