5 side N ページ34
「おーちゃんの話を聞いたじゃん。俺達の過去なんでしょ？」
俺＝相葉だって、いまいち実感できないんだけどさぁ。
でも、俺考えたの。
「あの頃の俺が望んでたこと、今の俺ならできるじゃんって。」
呆然と景色を見ていた俺に、相葉さんが微笑む。
「もっと早く、連れ出しちゃえばよかった。」
あの頃の相葉雅紀も、そう考えてくれていたのだろうか。
何処にも行けなかった俺を連れ出して、何処かへ、逃げてしまおうと。
だけどあの時代、弱い俺らにとって「外」は未知の恐怖。
「あの頃の俺らはできなかったよね。村の生活を捨ててとかさ。」
でも、今は違う。
「今なら、何処へでもいける。
此処に皆がいるから。」
『その頃には今よりもっと、此処に大切なモノが増えてるから。』
大野さんのご先祖様は俺にそう言ったらしい。
確かに、そうかもしれない。
新しく出逢ったモノ、みっつ。
初めから此処にあったモノ、ひとつ。
「ひとりぼっちで待つこともない。
ふたりぼっちで頑張らなくてもいい。
全部を捨てる必要もない。
俺達には、頼りになるヒト達が付いてるからね。」
助けてくれるヒトがいる。守ってくれるヒトがいる。ずっと味方でいてくれる。
孤独じゃない、それだけで、こんなにもセカイは変わる。
「もっと色んなとこに連れてってあげる。素敵なものがね、いっぱいあるんだよ。」
今度こそ。
ねえ、にの。
………ああ、そうか。
俺はやっと、あなたに逢えたのか。
「あの頃より、色んな事ができるよね。」
「俺もあんたも人間じゃなくなっちゃったけどね。」
「まぁいいじゃん、それはさ。」
大したことないんだってさ。
あんたがそう言うなら、それでいいよ。
「あったけ〜。」
気付けば、朝陽が昇っていた。
「そう。」
「ニノもあったかいでしょ？」
「…そうね。」
そんな気がする。
陽が昇り切ったら、扉の修理をさせよう。
でもまぁ、いいか。それは明日でも。
取り敢えず、明日も明後日も、一緒にいられるから。
今はもう少しだけ、こうしていよう。
あした てんきに しておくれ。 side O→←4 side N
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 329人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
totto(プロフ) - 初うさぎさん» 初うさぎさん、はじめまして。コメントありがとうございます。すみません今頃気付きました(>.<) 温かくなってくださいましたか？とっても嬉しいです(^-^*)今後もよろしくお願いします。 (2015年12月31日 11時) (
レス) id: c840215f83 (このIDを非表示/違反報告)
初うさぎ(プロフ) - はじめまして・このお話の世界観に惹かれ、一気に読ませていただきました。素敵なお話が多く、心が温かくなります。これからも楽しませていただきます。では続きにいてきま〜す(#^.^#) (2015年12月20日 9時) (レス) id: 6cde87a74e (このIDを非表示/違反報告)
totto - かえさん» かえさん、こんにちは。過去編で重めの話が多かったのであったかいのも書きたいな、と。いつもコメントありがとうございます(^ｰ^)更新頑張りますね！ (2015年5月13日 0時) (レス) id: 03ed178ab0 (このIDを非表示/違反報告)
かえ(プロフ) - tottoさん。お久しぶりです(^^) お題：あい。素敵ですね。そのすべてがその場所に…いつも更新を楽しみに待ってます(^^) (2015年5月10日 21時) (レス) id: 80843bd474 (このIDを非表示/違反報告)
totto - レイカさん» レイカさん、はじめまして。コメントありがとうございます。お褒めいただき光栄ですo(^-^)o 文才...ありますかね？これからも精進いたします。 更新はとても遅いですが、今後もよろしくお願いしますね。 (2015年4月12日 18時) (レス) id: 03ed178ab0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：totto | 作成日時：2014年12月2日 22時
