4 side O ページ12
川辺に二人並んで、ニンジンをかじる。
最初は無言で。
そのうち相葉ちゃんがぽつりぽつりと質問して。
たまにニノがそれに答えた。
北の山中で暮らしているらしい。果物ばかり盗んでいたのは、そのまま食べられるからだそうだ。
「汚れてる。」
濡らした布でニノの顔を擦る。
乾いた泥が落ちた顔はいやに青白かった。
「変な臭い、付いちゃうよ。」
「いいよ、大丈夫。」
手足も拭き続ける相葉ちゃんを、ニノはぼんやり眺めてた。
「この怪我、痛くない？」
「…もう帰らなきゃ。」
「えっ、もう？」
「母様が待ってるから。」
相葉ちゃんの手を止めて、立ち上がる。
ニンジンは少し齧っただけで、まだ随分残っていた。
相葉ちゃんのニンジンも、元々ニノにあげるつもりだったから、先端が少し欠けているだけで。
それをニノに渡して、そのまま手を握った。
「これも持ってって。で、明日も来て。明日は違うの持ってくるから、絶対来て！」
約束だよ、と念を押す。
俺が見ている限り、この相葉ちゃんはあまり人に執着しない。
ニノにここまで拘るのは、同年代だから？それとも、ニノだから？
現代の二人を知っているから、何か通じるものがあったんだって、思っちゃうよ。
「あの…、」
「なに？」
ニノは握られたままの手を見ている。
困っているように見えるけど、相葉ちゃんは離さない。
「………ありがとう。」
「うん！」
手を離して、互いに手を振って。
食べかけのニンジンを宝物みたいに抱えて、ニノは山へ帰っていく。
その背中に、相葉ちゃんは声をかけた。
「俺、まさきって言うの！君は？」
ニノは振り返って、笑った。
「ないしょ！」
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totto - 苺だいふくさん» 苺だいふくさん、はじめまして。ごめんなさい、本日やっとコメントに気が付きました(>.<) お褒めいただきとっても嬉しいですo(^-^)o ２日でこんなに読んでくださったんですか！？更新が遅いのですが、これからも頑張りますので宜しくお願いします(^ｰ^) (2015年3月12日 12時) (
レス) id: 03ed178ab0 (このIDを非表示/違反報告)
苺だいふく(プロフ) - 話の途中ですし、まだ後もあるのは知ってるのですが。すごく泣けてきました、たぶん泣く場面ではないのですけど。５人の気持ちの強さが文面から伝わります。すごく好きな文面で、面白くて2日でここまで見てしまいました。新参者が失礼しました。 (2015年1月28日 21時) (レス) id: ef28eb7fce (このIDを非表示/違反報告)
totto - かえさん» わぁ、愛猫がいらっしゃるんですか？私も動物は大好きで( ´艸｀)さすがにカワウソは無理ですが愛兎と愛魚がいます。 リーダーには必ず帰ってもらいますので！見守ってあげてください。 (2014年11月19日 12時) (レス) id: 03ed178ab0 (このIDを非表示/違反報告)
totto - かなさむさん» こんにちは！川獺は非常に書きやすくて...。きっと生魚ばかりの川獺には潤氏の干物は絶品かな、と。 次はおそらく「冬」になります。暫しお待ちくださいませ(^_^) (2014年11月19日 12時) (レス) id: 03ed178ab0 (このIDを非表示/違反報告)
かえ(プロフ) - にのちゃんと相葉さんに撫でくりされてる川獺さん。可愛い///思わず我が家の愛猫を撫でくりまわしてしまいました(^^)皆が待ってるお家に早く帰って来てね。リーダー。 (2014年11月19日 12時) (レス) id: 89ef557ba8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：totto | 作成日時：2014年8月24日 18時
