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智にぃサイド
翔が二つ目の検査をするって言ったら
泣いて嫌がりはじめた。
翔「嫌なのはわかるよ。
でも、やらないわけにはいかないから。
がんばろうな？」
雅「んん、にぃ、やだ…」
心臓の横の脇の辺りから針を刺して
検査をする。
もちろん痛い。
雅紀もそれをわかってる。
だから、ここまで拒否する。
それに注射が見えちゃう位置だから
目にタオルをかける。
雅「タオル…や…しょ、にぃ？たおる…やだ…」
翔「タオルしておいたほうが怖くないよ」
雅「んん、しょ、にぃ…や…」
翔「なら、智にぃの手にする？」
雅「ん、たおる、やめてくれる…？」
翔「やめようね。
智にぃお願いしてもいい？」
「うん。雅、ちょっと手乗せるね。」
雅「ん、いたいかな…いたいよね…んっ、はやくかえりたい」
「そうだね。早く帰れるように頑張ろう」
雅「ん…」
翔が準備を終わらせて
雅紀の手をつかみバンザイする形にさせる。
雅「ん、んっ、…わい。はやくかえる…」
翔の合図で体に力が入る。
針を脇の下から入れるから
痛くないわけなくて…
雅「ん、…い…たい…あ、ん、にぃ、んっ、」
珍しくパニックにはならない。
翔「ここからちょっと痛いよ。
がんばろうな〜。」
雅「や、んっ、や、ぎゃーー、
いたい、いたい、しょ、にぃ、とって、たすけて
ぎゃーー、やだ、いたいよ？いたい。たすけてよ」
懇願するように泣きはじめて、
翔の顔もなんだか辛そう。
少し前までは
この検査の担当は俺だった。
基本的にはパニックになって
気を失うけど、今日みたいに中途半端に
痛みと恐怖、現実を行き来してるほうが
雅紀の声もお願いをするかのように
話すから俺らも辛い。
だけど、俺らのその辛さは
雅紀からしたらきっとちっぽけなもん。
大好きな兄に針を刺されて
痛いことをされる。助けを求めても
誰も助けてくれない。体は抑えられて
動かない。この状況で辛くないわけないよ。
翔「雅紀、終わり、頑張ったよ。」
その言葉で抑制帯をとってあげる。
雅「やめたい、…かえる…やだ、いたいよ」
「まーさ？痛いのお終い。
体も動くよ。抱っこしようか。」
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作者名：ナマコ | 作成日時：2022年1月26日 21時
