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初めての野球観戦 ページ8

逆転され3-4で迎えた彼の第3打席目。

いつもとは違うユニホームでバットを持って出てきた彼が大歓声と拍手に包まれグラウンド上に出てきた。

誰もがきっと彼に期待しているのだろう。
ホームランを打ってくれと。

カウント2-0で一点を追う状況で、カメラにその姿を収めようとスマホを向けた時、不意に画面越しに彼と目が合ったような気がした。

いやいやそんなまさか、とカメラを向けるのをやめて一度落とした視線をもう一度彼へと向けると、目を細めてこちらを凝視していた。

嘘でしょ、と心の中で呟いた。

ここから打席までの距離がいくらあると思ってる。ましてやこの観客の多さで特定の1人を見つけ出すなんて不可能にも等しい。

最早恐ろしいし帰ったら怒られるかな、なんてことを考えながら相手投手と向き合う彼を目に焼き付けた。

その横顔はいつも真剣で、何度見ても惚れ惚れとしてしまう。

隣の男の子が

「OHTANI HOMERUN!!」

と叫んだ。


そんな時だった。


豪快な打球音が球場に響いて、何が何だか分からないくらいスタジアムが縦に横に大揺れした。

「打、った」

打った。
期待に応えるかのように、彼は打ったのだ。

「逆転ホームラン…!!」

演出用の花火が打ち上がり、塁間を走り抜ける彼が空高く拳を突き上げた。

小さな頃の記憶が蘇る。

家の前で素振りをする彼が、今度は試合を見に来てと笑うのだ。

「そしたらホームラン打つから!」

今と変わらない笑顔で軽々しく言って退ける幼い男の子に胸が鳴ったのを憶えている。

私が居なくなってしまったせいで果たされることは無いと思っていた約束を、目の前で見せてくれた。


全員が立ち上がり、OHTANIコールでベンチに戻ってくる彼を迎え入れて、巨大なスクリーンに彼の横顔が映し出された。

左手を口元に近づけて、薬指にそっとキスを落とした。

「っ…ばか」

盛り上がる周りを他所に私は彼だけを見ていた。

どうしてもその意味が分かってしまうから。


あなたが誰よりも素敵でカッコイイ人だと知っている。

朝が少し弱いあなたも、トマトが幾つになっても食べれないあなたも、重い荷物を持ってくれるあなたも、毎日ハグをしてくれるあなたも。

誰よりも鮮明に私の目に映る。

だけどね

野球をしているあなたが誰よりも大好きで、どう足掻いても目が離せない。

世界一カッコイイあなたへ。

「かっこいいね、翔平くん」

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はる(プロフ) - 初めまして!1と2、公開して頂きありがとうございます!ずっと読みたかったので一気に読みました。途中で涙止まらず…1と2を読んで3を読むとまた違った視点で読めて凄く楽しいです。話がやっと繋がりました。3の更新もホント嬉しいです!これからも待っています! (1月30日 2時) (レス) @page26 id: 7953a5096d (このIDを非表示/違反報告)
かおり(プロフ) - 更新、楽しみにしていました。ありがとうございます! (1月29日 23時) (レス) id: 011b5f1b71 (このIDを非表示/違反報告)
はるきち(プロフ) - もう一度初めから読みたいです…パスワード教えて頂きたいです! (1月21日 0時) (レス) id: d1652f67c1 (このIDを非表示/違反報告)
- 初めから読ませていただきたい為、よろしければパスワードを教えていただきたいです。お願いします! (12月12日 0時) (レス) id: 9c721e875e (このIDを非表示/違反報告)
ねぇい(プロフ) - コメント失礼します。初めから読ませていただきたい為、よろしければパスワードを教えていただきたいです。よろしくお願いします。 (12月1日 11時) (レス) id: 4c70fa6baa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あきら | 作成日時:2023年7月8日 12時

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