疑惑の人 ページ15
一平さんの運転で向かったのは都内にある高級ジュエリーショップ。
普段ならこんなところに足を運ぶことは決してない。
それでも来たのは……
「大谷さん！」
コツコツとヒールをの音を鳴らして、小走りで向かってくる女性にぺこりと頭を下げた。
「久しぶりですね。突然になってすみま＿＿」
「久しぶりですね、じゃないですよ！！帰国するならもっと早めに言ってもらわらないと！私、いまさっきの連絡で知ったんですからね？こんな服でクライアントに会うなんて、上層部になんて言われるか……！！」
一平さんに見習ってパタリと耳を閉じた。
声の大きい目の前の女性は、1年前からやり取りをしているこの店の店長だ。
Aと結婚してからアメリカに戻る前に偶然見つけた店で、何の気まぐれか入ってみたらいたく気に入ってしまって、ここにすると決めた日からもう1年も経ってしまった。
「ほら早く、あなたの可愛い奥さんのために"指輪"、今日こそ買うんでしょ！！」
背中をグイグイと押され裏口から店へと入っていった。
あの日、ショーケースに並んでいる指輪を見て、絶対彼女に似合うだろうなと思った。
よし買おうと決めた時には、目当ての指輪は売り切れていて、海外から入ってくるまでに1年待たないといけないと言われた。
絶対にその指輪が良かった。
これなら喜んでくれるという確信があった。
他のを勧められたり、アメリカで何度かショップを覗いて心が傾きそうになったのを何とか耐えて、我慢して今日この日を待ち続けた。
ショーケースの中に置かれた、あの日見た指輪を眺めて自然と笑みが零れた。
控えめだが洗練されたデザインのそれは、きっと恐ろしく彼女に似合うだろう。
カードを取り出してすぐに購入して、一平さんには呆れられた顔をされたが、
「まぁその指輪ならAちゃんも喜ぶだろうけど、」
とお墨付きを貰った。
指輪の裏側に刻印する名前をどうするかで１ヶ月トーク画面の中で店長と揉めに揉めたし、散々やり合ったが結局この人に任せて良かったと思える。
「大谷様と奥様の末永いご多幸を心より願っております。本日は誠にありがとうございました。」
制服に着替えて恭しく頭を下げた店長に右手をあげて軽い足取りで店を出た。
あまりに浮かれすぎて、いつもなら絶対しないミスを何度も犯してしまった。
こんなことになるなんて思いもしなかった。
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はる(プロフ) - 初めまして！1と2、公開して頂きありがとうございます！ずっと読みたかったので一気に読みました。途中で涙止まらず…1と2を読んで3を読むとまた違った視点で読めて凄く楽しいです。話がやっと繋がりました。3の更新もホント嬉しいです！これからも待っています！ (1月30日 2時) (
レス) @page26 id: 7953a5096d (このIDを非表示/違反報告)
かおり(プロフ) - 更新、楽しみにしていました。ありがとうございます！ (1月29日 23時) (レス) id: 011b5f1b71 (このIDを非表示/違反報告)
はるきち(プロフ) - もう一度初めから読みたいです…パスワード教えて頂きたいです！ (1月21日 0時) (レス) id: d1652f67c1 (このIDを非表示/違反報告)
ジ - 初めから読ませていただきたい為、よろしければパスワードを教えていただきたいです。お願いします！ (12月12日 0時) (レス) id: 9c721e875e (このIDを非表示/違反報告)
ねぇい(プロフ) - コメント失礼します。初めから読ませていただきたい為、よろしければパスワードを教えていただきたいです。よろしくお願いします。 (12月1日 11時) (レス) id: 4c70fa6baa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あきら | 作成日時：2023年7月8日 12時
