素のアイドル

渡辺センセーとふかざぁ先生 ページ10

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｢しょっぴー！｣


って言いながら職員室に入るとゲッという顔をして


｢お前また来たのかよ｣

｢ていうか、渡辺先生、な｣


なんて言って出席簿で頭を軽く叩かれる


｢痛い！体罰だ！｣なんて言うと、


｢はいはい口止め料｣


カサっと音を立てていちごみるくを手渡される


｢つーか用もないのに来んな来んな｣


そう言いながら職員室を出ていくセンセーを見つめる


｢なぁに、また来てんの？｣


なんて笑いながらふかざぁ先生に話しかけられる


｢別に、ふかざぁ先生に逢いに来てるわけじゃないし…｣


と顔を顰めながら言う


｢ん？生意気なことを言うのはこの口かなぁ？｣


そう言って頬を片手で掴まれる


｢体罰だー｣って言ってもふかざぁ先生は甘やかしてくれない


｢ほんっと、なべのこと好きねぇ｣


｢うん、好き、めっちゃ好き｣


そう言って笑うとヘラヘラしたまま、｢恋する乙女じゃん｣なんて言う


｢いやーでもさ、なべはやめといた方がいいよ｣


そう言って去るふかざぁ先生に腹が立ち、ふかざぁ先生の背中に向かって舌を出す

卒業して、長い春休みにまた渡辺センセーに会いに行くといつもと同じ呆れた顔をして｢お前、また来たのかよ｣なんて言って笑う


｢暇なの？｣って笑う渡辺センセーの左薬指には、きらりと光る指輪


｢それ、｣


と指輪を見ながら呟くと


｢おー、結婚した｣


なんて照れくさそうに言う

優しそうな顔をして指輪を見つめる姿に無性に泣きたくなった


｢そ、っか！おめでとー、しょっぴー！結婚祝いにこれあげるー！｣


そう言ってポケットからいちごみるくを出して手渡すと、｢ふはは｣なんて特徴的な笑い方をする


｢おーさんきゅー｣

｢お前も良い奴早く見つけろよー？｣


そう言って笑う渡辺センセーに別れを告げ、校舎裏で1人しゃがみこみ泣く


｢だぁから言ったじゃん｣

｢なべはやめとけってさぁ｣


隣に腰をおろし、煙草に火をつけるふかざぁ先生


｢ここ、学校だけど｣


｢Aはもう生徒じゃねぇし、2人だけの秘密ってことで｣


そう言って笑う



｢今だけは見なかったことにしてあげるからさ｣



なんて言って頭を撫でるふかざぁ先生は、大人で、腹が立つ

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