素のアイドル

都合のいい男になりたくない康二 ページ43

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｢なんでいつも上手くいかないんだろ、｣


そう言って机に伏せる彼女の丸い後頭部をぼんやりと眺める


「今日も荒んでんなぁ」


好きになった人といい感じだったのに、いざそういう雰囲気になったら怖くなって逃げてしまう彼女


｢好きなのに、怖いって思っちゃうのほんとやだ…｣


声を震わせてそう言う彼女を少し哀れに思うと同時に、このまま誰のものにもならなければいいのになんて思う


「しゃぁないよ」

「だってまだ付き合ってもなかったんやろ？」

「そんな相手に手出されそうになったら、誰だって怖いって思ってまうよ」


そう言って彼女をフォローする


｢ねぇ、こーじ｣


「ん〜？」


｢抱いて｣


机に伏せたままそう言う彼女に、内心ドキリとする


「、本気で、言うてんの？」


動揺で声が震えそうなのを必死に誤魔化す


｢本気｣

｢こんなの、こーじにしか頼めない｣


なんて言う彼女に、困惑と、少しの苛立ち


「俺の事、都合のええ男にするつもり？」


ずっと好きやった

やのにこんな形で好きな子抱くとか、もう今後そういう風にしか見られへんやん。そう思うと少し声が低く、冷たくなる


「俺さ、Aのこと好きやねんけど」

「そんな都合のええ男になんかなりたない」


そう言うと顔を上げ、ぽかんとこーじを見つめる


｢え、？ほん、とに？｣


言葉をつまらせながらそう聞く彼女に、少し笑みを零す


「ほんまに」

「気づかんかったやろ？」
「必死に隠しててんもん」


そう言って頬をするりと撫でると、肩をぴくりとさせる彼女


「俺、Aのこと好きやからさぁ」

「Aには幸せになってもらいたいなぁって、思ってたんよ」


少し眉を下げそう笑うと、口をきゅっとさせる彼女



「なぁ、俺の事、ちょっとでもええからさ、考えてみてよ」



懇願するように、少しの希望を逃さないようにそんなことを言うこーじに、心臓が締め付けられた

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