元カレとリップと辰哉 ページ34
.
｢ねぇ〜｣
｢ん〜？｣
朝、辰哉とのデートのために気合を入れてメイクしているとふと話しかけられる
｢これさぁ、つけないの？｣
そう言って彼女のメイクポーチから有名ブランドのリップを取り出す
｢お、良い色｣なんて良いながらリップを見つめる辰哉に、ドキリとした
｢あ〜…それ、ね…うん、つけない、かな？｣
なんて言えばいいのかわからず、濁したようにそう言うと首を傾げる
｢あんま好きな色じゃなかった？｣
｢めっちゃ良い色だと思うけどなぁ｣
なんて言いながらリップを見つめる辰哉に罪悪感が湧く
｢ね、これつけてデートしようよ｣
なんて笑う辰哉
｢あ〜、ん〜…やだ｣
目を泳がせながらそう言うと、少し意地悪そうに笑いながら
｢なぁに、おねーさん｣
｢これそんなに好きじゃないの？｣
なんて言う
｢ちゃぁんと理由言わないと、このまま塗っちゃうけど｣
ぐっと頬を掴まれ、無理やり塗ろうとする
｢ま、！言う！言うから！｣
そう言うとパッと手を離され、ニコニコと笑う
｢それ、元カレにもらったやつ、だから｣
目を泳がせながらそう言う彼女に、少しだけ表情を曇らせる
｢捨てなきゃってわかってたけど、それ、デザインが好きで、だから、えっと…｣
言葉を選びながら言うと、さらに表情を曇らせる
｢未練、あんの？｣
なんて言われて、
｢違う！未練なんて全くない！｣
そう大きな声で否定する
｢じゃーこれ捨ててもう1回自分で新しいの買えば？｣
そう言う辰哉に、｢それ、限定デザインで、今はもうないの｣なんて返す
｢ふ〜ん｣
｢これつけて、元カレとキスしてたんだ？｣
そんな事を聞かれるとは思わなくて、戸惑ったものの、嘘はつけないと思い正直に頷く
｢…ムカつくなぁ｣
そうぽつりと呟く辰哉に、申し訳なさと不甲斐なさで涙が出そうになる
元カレに貰ったものは全部捨てたけど、そのリップだけはデザインが気に入っていてどうしても捨てられなかった
足元が滲み、涙がこぼれそうになるのを耐える
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 252人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
隣人(プロフ) - あさん» ありがとうございます！春になったらの設定(？)が出た時に書いたものなので類似してるところは結構あると思います😂 (1月6日 9時) (
レス) id: 7c7156921d (このIDを非表示/違反報告)
あ - 友人スピーチと辰哉の話って、春になったらの予告に似てませんか⁉️予告を見た時に運命を感じてここに戻ってきました‼️ (1月5日 21時) (レス) @page40 id: 35f01d12bc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：隣人 | 作成日時：2023年12月22日 23時
